ここからは連日お伝えしている参院選特集です。今回は争点の1つと言われている選択的夫婦別姓について考えます。
6月閉会した通常国会で実質的な審議入りした選択的夫婦別姓。
採決に至らず継続審議となったものの、審議入りすること自体、実に28年ぶりの出来事でした。
坂井智子さん:
私は私の名前で人生を今まで生きてきたので、結婚という節目があった時にこの先も自分の名前でいたいと思った
静岡県静岡市駿河区に住む坂井智子さん。
関連法案の成立を待ち望んでいるひとりです。
坂井智子さん:
結婚で同じ名字になるのをいいと思う人もいいと思うし、自分の名字のまま結婚したい人も体感としては半々いるのではないかと思う。女性が見ている世界と男性が見ている世界は違うのではないかと思う
戸籍の上での現在の名字は「横山」。
ただ、最初から婚姻届けを出したわけではありません。
横山卓志さん:
私自身が恥ずかしながら結婚を考える時、妻からそれを言われるまで疑問にすら思ったことがなかった。ひょっとしたら世の中の多くの男性もそうかもしれないが、なんとなく結婚したら男性の姓を名乗ると子供の頃から思い込んでいて、そういう考え方の人もいるのだということに気づいた
それでも、いわゆる結婚に至ったきっかけは妊娠を望んだため。
しかし、最後まで抵抗感は拭えず、夫の卓志さんも当時の智子さんの様子が忘れられないと振り返ります。
横山卓志さん:
私がよく覚えているのが、郵便物が届いた時に自分宛の郵便物を見てため息をついて落ち込んでいた。何かと思って変な郵便物でも来たのかと思ったら宛名が元の名前ではなく改姓した名前で送られて来たことに対して、決して私の名字が嫌だということではなく、今までの自分の名前を捨てなきゃいけない、上書きされて、なかったことにされているということに悲しく落ち込んでいる姿はたびたび目にしてきた
坂井智子さん:
結婚してうれし涙以外は流したくない。うれしいはずの結婚という出来事、婚姻届けを書いて出すことが苦痛にならないような世界になってほしい
婚姻届けを提出することにより、夫か妻の姓に統一しなければならない日本。
ただ、こうした結婚制度は法務省が知る限り、世界で日本だけとも言われています。
静岡大学情報学部・笹原恵 教授:
夫婦同姓であるというのが前提の文化なので、夫婦別姓というような新しい文化が入ってくるとそれによって混乱が生まれると思う人もいる。家族の絆が失われると思う人もいる。いま言われているのは選択的夫婦別姓なので、すべての人が夫婦別姓にすべきということではなく、夫婦別姓を望む人が夫婦別姓にするという話で、基本的には別姓を望まない人には何も関係がない。望む人が変えるだけなので問題はないと思う
その上で様々な争点がある中で、有権者ひとりひとりの価値判断が大切になると強調します。
静岡大学情報学部・笹原恵 教授:
いろいろなイシュー(論点)がある中で、何を重視するのかはそれぞれ自由な領域であり、経済活動などについてのポリシーは大事だと思うが、有権者は候補者を選ぶ時に自分の生き方や関心に基づいて、何を重視してどういう代表を選びたいのかを考えて選ぶのが一番いいとしか言いようがない
国民民主党・榛葉賀津也 候補(58)
ここからは選択的夫婦別姓について各候補の主張を見ていきます。
国民民主党の榛葉賀津也 候補(58)は家族としての一体性をどう保つのか、子供の姓をどうするのかについて、国民全体が納得できる方向性を与野党で考えていくべきと主張しています。
無所属・村上猛 候補(74)
一方、無所属の村上猛 候補(74)は個人的な利害関係は本人の権利だとして賛成としています。
諸派・福原志瑠美 候補(42)
諸派の福原志瑠美 候補(42)も婚姻届けを提出しない、いわゆる事実婚よりも、別姓でも結婚をしている方が国が管理しやすいとして賛成の立場です。
参政党・松下友樹 候補(41)
一方、参政党の松下友樹 候補(41)は反対の立場で、夫婦同姓による家族の一体感や絆が重要とした上で、親子の姓が別々になることで社会的な不都合や混乱が生じる可能性があると主張しています。
共産党・鈴木千佳 候補(54)
共産党の鈴木千佳 候補(54)は賛成で、法律で同姓を強制しているのは世界でもまれであり、日本の伝統的な家族制度が壊れるなどの意見に対してはあくまでも選択制であることを強調しています。
自民党・牧野京夫 候補(66)
自民党の牧野京夫 候補(66)は子供の意思が伴わない出生時に子供の姓の選択を迫られる課題があると反対を明確にした上で、旧姓の通称使用を法律で明確化し、使用拡大していくことが望ましいと話しています。
諸派・山口香苗 候補(46)
諸派の山口香苗 候補(46)も夫婦同姓が日本の文化であり、出自や家系を知るために名前が必要と反対の立場です。