回答書を提出する伊東市・田久保眞紀 市長(7月24日午後3時頃)
自身の学歴詐称問題をめぐり、市議会の百条委員会から出頭を求められている伊東市の田久保眞紀 市長ですが、期日を翌日に控えた7月24日、中島弘道 議長などと面会し、出頭と証言を拒否する旨を記した回答書を手渡しました。
伊東市の田久保眞紀 市長をめぐっては市の広報誌などに「東洋大学法学部卒業」と記す一方、実際には除籍されていたことがわかっていて、市議会では地方自治法に基づく百条委員会が設置されています。
田久保市長は自身が卒業したことを示すものとして、“卒業証書”とされる資料を正副議長や市職員に見せていたことから百条委員会は原本を提出するよう請求しましたが、田久保氏側は拒否しました。
このため、百条委員会は7月22日、同月25日に開かれる委員会に出席した上で、証言を求める請求を改めて田久保氏側に出しています。
こうした中、田久保市長は7月24日に中島弘道 議長などと面会し、「求められている事項は、いずれも回答が事実上不可能な内容を含むものであり、不適切な請求である」などと百条委員会への出頭も証言も拒否する旨を記した回答書を手渡しました。
中島議長は「無責任な主張。真摯な態度ではない。不誠実」と怒りをあらわにしています。
田久保市長は回答書を渡した際、中島議長に「市長室におりますので」と伝えていたものの、直後に退庁しました。
回答書の内容とは?
田久保市長が提出した回答書の全文は以下の通り。
出頭請求に対する回答書
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。さて、貴議会より令和7年7月22日付で交付された「証人出頭請求書」を受領いたしました。これに対し、以下のとおり回答いたします。
1 出頭の拒否について
令和7年7月25日(金)午前10時に指定された場所への出頭を拒否いたします。
2 出頭拒否の理由について
以下の理由により、証人として出頭し証言することはできません。
(1)証言を求められている事項について
貴議会の証人出頭請求書によれば、証言を求める事項として以下の3点が挙げられています。1 記録の提出を拒む理由、2 卒業証書とされている書類に関すること、3 除籍となった事実に関すること。
(2)記録の提出を拒む理由(1)について
令和7年7月18日付の回答書において、記録の提出を拒む正当な理由を既に記載しております。よって、本件は回答済みの事項であり、改めて証言する内容はございません。
(3)卒業証書とされている書類(2)について
上記1と同様の理由により、証言を拒絶する正当な理由があるものと考えます。
(4)除籍となった事実(3)について
東洋大学に4年間在籍した後、「卒業」ではなく「除籍」と記録された理由については、大学に照会等しておりますが、今日現在除籍になったという事実以外に新たな事実関係を把握しておりません。また、推測に基づく回答は誤解を招く可能性があるため差し控えさせていただきます。なお、大学に4年間在籍した事実を証明する書類については、請求があれば別途提出いたします。
(5)出頭請求の妥当性について
地方自治法第100条の規定に基づき、証人から証言を求めることができる事項は、あらかじめ「出頭請求書」に明示された事項に限られます。しかしながら、本請求において求められている事項は、いずれも回答が事実上不可能な内容を含むものであり、不適切な請求であると考えます。
(6)私の大学時代の友人であるという匿名の者から議長宛てに卒業証書を偽造したとする文書が提出された件について
私の大学時代の友人であるという匿名の者から、議長宛てに、卒業証書を偽造した経緯について文書が提出され、100条委員会を構成する議員の間で閲覧されたと聞いております。
これについて、私自身、現段階では内容を確認できておりません。仮に、当事者が内容を知らない文書の存在を前提に100条委員会での質問が行われるとした場合、証言者の権利利益を軽視することがはなはだしく、到底受け入れられるものではありません。
100条は民事訴訟法の証人尋問の規程を準用しているところ、民事訴訟において、当事者が重要な証拠の内容を知らないまま、尋問を受けるということは、およそあり得ない話です。
この観点からも、出頭も拒否しうる正当な理由があると考えます。
(7)出頭日時の指定について
令和7年7月25日午前10時という出頭日時は、唐突かつ一方的な指定であり、代理人弁護士のスケジュール調整が困難な状況です。私には代理人弁護士を依頼する権利があり、その権利は尊重されるべきであると考えます。
3 結論
以上の理由により、地方自治法第100条第3項に定める「正当な理由」があるものと判断し、指定された日時・場所への出頭は拒否いたします。
敬具