県東部のごみ処理広域化に向けた3市2町による協議
県東部のごみ処理広域化に向けて7月28日から新たなごみ処理施設の建設候補地の公募が始まった。施設の老朽化や人口減少などを背景に、スケールメリットを活かせる3市2町による広域化への協議が今後どのような展開を見せるのか注目だ。
【動画】建設候補地の公募が始まるも進まぬ“ごみ処理”広域化 一体なぜ? 自治体ごとに異なる事情 さらに各市町の意思ではなく県が示した計画で協議会設置という背景も三島市のごみ処理施設
各家庭から出された燃えるごみを次々と回収するパッカー車。
担当する集積場を回り終えるとそのまま焼却施設へ。
ただ静岡県三島市の場合、稼働から35年あまりが経過し、老朽化が目立ってきている。
三島市廃棄物対策課・橋本泰浩 課長:
ここは1989年度に稼働を開始した施設。かなり古い施設なので途中で更新の工事も行っているが、近い将来新しい施設を造らなければならない
修繕や補修に要する費用は年間約2億円。
また、最終処分場は許容量の限度に近づいていて、現在は年間約8000万円をかけて県外の施設に焼却灰を運んでいるのが実情だ。
このため、三島市が検討を進めているのは複数の自治体で焼却施設を共同で運用する、いわゆる広域化だ。
三島市廃棄物対策課・橋本泰浩 課長:
近隣の市町で連携をとることにより、例えば建設費用も少なくなる。エネルギー回収として多くの施設で発電などを行っているが、それも規模が大きくなるほど効率が良くなる
1つの自治体が単独で焼却施設を運営するよりもスケールメリットを活かすことで財政負担を抑えられるという広域化。
3市2町による広域化協議会の様子
ところが、三島市が参加している協議会では検討から3年経ったいまも枠組みすら決まっていない。
一体なぜなのか?
協議会を構成しているのは三島市のほかに裾野市・熱海市・長泉町・函南町の3市2町。
長泉町・高田昌紀 副町長:
いま単独で持っている焼却場についても2041年までは使えるという状況
裾野市・堀越崇志 副市長:
施設の老朽化が進んでいるので広域だったり民間だったりという様々な選択肢で更新を検討している
熱海市・吉徳光男 副市長:
熱海市はごみがほかの市町と比べてかなり排出量が多い。1人あたりの
函南町・加藤裕一 厚生部長:
現在のところ広域化に参加するか否かは決定はしていない
さらに、そもそもこの協議会自体、各自治体の意思で始まったというよりは県が示した計画の一環としてスタートしたという事情もある。
ごみ収集車
3市2町ごみ処理広域化検討協議会
鈴木昭彦 会長(三島市副市長):
広域化で一番大切かつ重要になるのは、まず場所の選定をしてそこにごみ収集車が行ける距離なのかというところが各市町の最大のポイント
複数の自治体で焼却施設を持つとなると、まず立ちはだかるのが建設地の壁。
参加するどこの市や町からもある程度のアクセスの良さが確保されなければ不公平感が募る一方、いわゆる迷惑施設であるごみ処理施設の建設を嫌がる住民が多いのも事実だ。
協議会では2027年3月末までに経済性や自然環境への影響などの観点から候補地を選定。
その上で、各自治体が実際に広域化に参加するのか最終判断することを予定している。
裾野市・熱海市・長泉町・函南町のごみ処理施設
裾野市・堀越崇志 副市長:
広域化もあるが費用面が大きな課題だと認識しているので、広域以外にも民間活用など幅広い選択肢の中で市にとって何がいいのか検討していきたい
長泉町・高田昌紀 副町長:
当然メリットがあまりないということになれば町単独で行くのか私たちも単独で調査もしているので、いろいろな選択肢を別に考えるか、それはその時の判断
函南町・加藤裕一 厚生部長:
ごみ焼却場が老朽化し、故障も増えている。ごみの減量とあわせて進めていかなければならない
熱海市・吉徳光男 副市長:
熱海市としては広域化に賛成しているので、参加していきたい
3市2町ごみ処理広域化検討協議会・鈴木昭彦 会長(三島市副市長)
焼却施設の維持が課題となっていることから1つでも多くの自治体と手を組みたいのが本音の三島市。
なぜなら、参加する自治体が少なければスケールメリットが生まれにくいからだ。
とはいえ、実際にどれくらいの市と町が枠組みに入るのか、現状では読み切れていない。
3市2町ごみ処理広域化検討協議会
鈴木昭彦 会長(三島市副市長):
各市町が個別で建設する場合とごみの収集運搬費との兼ね合いをそれぞれ考えて今後判断すると思っているので、現状のところは3市2町全てまとまって広域化することが財政負担、財政上も一番メリットがあると考えている
候補地の選定に向けた公募は2025年10月末まで。
広域化の議論の進展に向けた一歩となるのか、それとも破談のきっかけとなるのか。
1つ目のハードルがすぐそこまで迫っている。