甚大な被害をもたらした台風10号から1年 異常気象が”異常”ではなくなったいま命を守るために必要なコト

台風10号で冠水した道路と「キキクル」アイコンと小塚気象予報士

2024年、静岡県内に甚大な被害をもたらした台風10号から1年。異常気象が異常ではなくなるいま、何が必要なのか考える。

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土砂に埋もれた農業用ハウス(2024年9月)

伊藤渚紗 記者(2024年8月30日):
こちら清水区大内の冠水してしまった道路です。足元までこのように水が浸かってしまっています

2024年8月末から9月初旬にかけて静岡県内に甚大な被害をもたらした台風10号。

速度が遅い上に進路が定まらず複雑な動きをしたことから1週間近く雨が降り続き、各地で浸水や土砂災害が起きた。

川船昌雄 記者(2024年8月31日):
駐車場が大量の土砂で埋められています

熱海市では山が崩れたことで大量の土砂や水が火葬場に。

杉本真弓カメラマン(2024年9月1日):
現在は水は流れていませんが、ご覧のように周辺の農業用ハウスが土砂に埋もれてしまっているのが確認できます

静岡市駿河区ではイチゴ農家のハウスが土砂に呑み込まれた。

イチゴ農家・澤山秀雄さん:
あんなに降るとは思わなかった。初めて、未だかつて。一気に水が溢れた

福島流星 記者(2024年9月1日):
あちら奥、山肌が完全に見えその下に崩れた墓石が積み重なっています

静岡市清水区の鉄舟寺では裏山が崩れ、50基を超える墓石が倒壊。

鉄舟寺・世永天山 住職: 
青天の霹靂で言葉の1つも出ない。まさか自分のところにもこんな被害がやってくるのかと。本当に何も言葉も出ませんでした

インタビューに答える男性(静岡市内)

あれから1年。

静岡市民(葵区在住):
家の前まで水かさが来たりして浸水まではいかないんですけど、ここ近年の中では
ひどかった印象

静岡市民(駿河区在住):
最近は雨が急にひどくなるので、油断はできないかなという感じ。短期間ですごく降るから、予測もちょっとわからないのでその辺は気を付けないといけないと思います

線状降水帯発生のメカニズム

近年、毎年のように全国各地で頻発している台風や大雨にともなう災害。

線状降水帯の発生により局所的に大きな被害となるケースも目立っている。

小塚恵理子 気象予報士:
気を付けたいのが線状降水帯。湿った空気が山にぶつかること、風同士がぶつかり合うことで積乱雲が発生。積乱雲が上空の風に流されることで列をなすように次々に発生して線状にのびる雨域。同じような場所で非常に激しい猛烈な雨が降り続くので、急激に災害発生の危険度が高まる

新しい防災気象情報(案)について

一方、種類が多すぎてわかりづらいとの指摘が相次いでいたのが、災害への警戒を呼び掛ける気象庁の防災気象情報だ。

このため、国土交通省では2026年の出水期から新たな防災気象情報の運用を始める予定となっている。

小塚恵理子 気象予報士:
警戒レベルは1から5まであるが、現在の防災気象情報は土砂災害警戒情報や氾濫危険情報など、同じレベル4相当でも名称がバラバラ。大雨警報が「土砂災害」と「浸水害」の2つの災害を対象としているなどわかりづらさが課題となっている。そこで新しい防災気象情報は、大雨浸水・洪水(河川氾濫)・土砂災害・高潮と災害が分類され、それぞれに1から5までのレベルを付けることになる。レベル2は注意報・レベル3は警報・レベル4は新たに危険警報が新設される

インタビューに答える女性(静岡市内)

いつ訪れるかわからない大雨災害。県民はどんな備えを進めているのだろうか?

女性(静岡市内):
備蓄はしている。水と食べ物・非常食は防災訓練と同じように人数分リュックに入れてある

女性(静岡市内):
普通のレトルトパックとかを置いておくという感じで、思い出した時に食べてまた買い足しておくという感じ

女性(静岡市内):
水とおむつ(を備えている)ペットを飼っているのでペットのご飯は備えている。備えていても悪いことではないので備えはいっぱいある

藤下泰子さん

ハンズ静岡店では現在、防災食をテーマにしたコーナーを展開している。

中でも人気を集めているのが水を入れるだけで完成するフリーズドライのご飯。

大切なのは普段から少しずつ消費し、使った分を買い足すローリングストックだ。

ハンズ静岡店・藤下泰子さん:
地震や津波があると反応も早く、店に来る人が増える状況になる。(食料品は)
期限があるものなので期限を見ながら買い足すと、常に買い足される感じとなり、
新しいものを用意していると思う

さらに、普段はクッションやひざ掛けとして使いながら”寝袋”に早変わりする商品やクギなど固いものを踏んでもケガをしにくいスリッパを販売。

普段使いしても違和感のないデザインが好評を博し、日常で使いながらも万が一の際に役立つのが特徴だ。

小塚恵理子 気象予報士

また、いま改めて活用が期待されているのが気象庁が提供している危険度分布、通称・キキクル。

土砂災害や浸水のリスクを自宅や出先で簡単に調べることができる。

小塚恵理子 気象予報士:
キキクルは、どこで災害の発生の危険度が高まっているのか確認ができる。土砂災害・浸水害・洪水災害の3つの要素を見ることができ、赤の表示がでたところは警戒=高齢者等避難にあたり、紫の表示が出た場合は危険=災害が発生する可能性が高い状態を示している。大雨が降っている場所はレーダーを見れば把握することができるが、災害が発生する場所や時間とは必ずしも一致しない。強い雨を感じたり、ここの地域は大丈夫かなと不安に思った場合には雨雲レーダーに加えて、キキクルも是非活用してもらいたい

異常気象が異常でなくなりつつある昨今、命を守る最善の行動とは何か?

ひとりひとりが改めて考え、備えていくことが重要だ。

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