常に備えのアップデートを 初の“南海トラフ地震臨時情報”から1年あまり 県民意識に変化は?

南海トラフ想定エリア・気象庁と静岡県職員

史上初めて南海トラフ地震臨時情報が発表され、2025年8月で1年となりました。聞き馴染みのない言葉に戸惑った人も多いと思いますが、1年が経ち災害への意識に変化は見られるのでしょうか?

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会見する気象庁職員

2024年8月8日に起きた宮崎県の日向灘を震源とする地震。

最大震度6弱、マグニチュードは7.1を記録しました。

気象庁の会見:
南海トラフ地震の想定震源域では新たな大規模地震の発生可能性が平常時に比べて相対的に高まっていると考えられます。今後もし大規模地震が発生すると強い揺れや高い津波が生じると考えられます

気象庁はこの時、史上初めて南海トラフ地震臨時情報を発表。

光田有志アナウンサー(2024年8月):
午後9時過ぎの駿河区の薬局です。ご覧のようにこの時間ですがたくさんの買い物客が詰めかけています

県内も不安と動揺に包まれました。

スーパーからは飲み物や日用品が消え新幹線は速度を落として運転する事態に。

インタビューに答える人(静岡市内)

県民:
(何をしたらよいのか)わからなかった感じです

県民:
トイレットペーペー買ったり、備えを家族と一緒にやった

県民:
子どもができてから準備しなきゃという意識があおられて、食材とかいろんなホームセンター回って、下着とかも全部買いそろえたり

県民:
何十年以内には来るという話でいつ来るのかなという生きているうちにくるのかなと思った

鈴木康友 知事

駿河湾から日向灘に広がる南海トラフ地震の想定震源域内でマグニチュード6.8以上の地震活動が確認された場合に気象庁が出す南海トラフ地震臨時情報。

大きな地震が普段よりも起こりやすいと判断されると巨大地震注意または巨大地震警戒が発表されます。

静岡県・鈴木康友 知事(2024年8月):
県民には日頃からの地震への備えの再確認、地震が発生したらすぐに避難するための準備をお願いしたい

県・危機管理部の様子(2024年8月8日)

遠く離れた震源地に、初めての臨時情報。

県の危機管理部ではあらかじめ作ってあった基準に沿って職員総出で対応に当たりました。その中で県民の混乱ぶりを肌で感じたと振り返ります。

県危機管理部・油井里美 危機管理監:
スーパーでの水や防災用品の売り切れなど、お盆の時期と重なったこともあり県民生活への影響により混乱した場面があった。

木南晶仁 施設係長

毎年多くの家族連れなどでにぎわう静岡市の用宗海岸。

臨時情報を受け海水浴場を閉鎖するかどうか検討しましたが、静岡市が最終的に出したのは営業を続けるという結論です。

静岡市・観光政策課 木南晶仁 施設係長:
日常生活を維持する、何か変えるという判断には至らなかったということで継続して運営しました。

油井里美 危機管理監

県が毎年実施している意識調査では、臨時情報について「概ね理解している」と答えた人は直近3年で3倍となり、76.6%となりました。

県民:
おむつとかおしりふきは常に多めに買って切らさないように。ギリギリだと何かあった時に困るので常に在庫は多めにとっておきます

県民:
津波来た時に家族がどこに避難するのか確認したり、防災用品の賞味期限を気にしたりとかは結構意識するようになったかなと思います

県民:
子どもたちをどう守っていこうとかその辺はよく考えるようになりました

県は正しくおそれることが大切だと強調します。

県危機管理部・油井里美 危機管理監:
県が普及を進めている「わたしの避難計画」を作成し、いつ、どこへ避難するのかを確認するとともに家族との集合場所の確認や水・食料・携帯トイレの7日分以上の備蓄など日頃の備えの再確認と地震が発生したらすぐに命を守る行動ができるよう準備をしてほしい

三井雄太 准教授

こうした中、気になるのが駿河湾近海の地震活動です。

専門家はここ数年、活発な地震活動は起きていないと分析していますが油断は禁物です。

静岡大学・三井雄太 准教授(地球物理学):
2009年と2011年に少し大きな地震があったが、それからは特別な地震活動はない。現状、臨時情報が必ず出るというわけではなく、臨時情報が出ていないのに大きな地震が起こることも現状ではあり得る。普段通り生活した上で少しだけ意識を持つということが大切なのではないかと思う

7月にはカムチャツカ半島付近で起きた地震により、静岡県内でも津波が観測され緊張が走りました。

いざという時のために、常に備えをアップデートしていくことが大切です。

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