インド食材コーナーとインド出身のスティーブンさん
静岡県浜松市のスーパーではインドからの輸入食材の販売をこの春から始めました。なぜいま浜松でインドなのか?そのワケを探ってみました。
【動画】なぜ?浜松でインドの食材を販売 ”高度人材”を獲得するために行政だけでなく民間も後方支援 それぞれの特色や役割を生かすインドの食料品コーナー(遠鉄ストア新橋店)
静岡県西部を中心に37店舗を展開する遠鉄ストア。
このうち浜松市中央区にある新橋店で4月から売られているのが、普段あまり目にすることがない珍しいスパイスにピクルス。
これらはいずれもインドから取り寄せた食材や人気のスナック菓子です。
しかし、なぜ浜松でインドの食料品を扱っているのか?
人口約78万人で県下最大の都市・浜松。
近年は市内で暮らすインド人が増えていて、市によると2025年4月末の時点で675人。10年前の約3.7倍となっています。
宮津典彦 店長
浜松市・中野祐介 市長:
インドの高度人材、特に理工系の人材に浜松に来てもらい、企業・地域を一緒に盛り上げて欲しいということで人材交流を進めている
このため、遠鉄ストアは母国の味を気軽に楽しめるようにと食材の輸入を決断。
販売店舗にはインド人が多く勤める自動車メーカー・スズキの本社に近い新橋店が選ばれました。
遠鉄ストア新橋店・宮津典彦 店長:
県西部地区においてインドからの移住者が増えていて、その人たちに見合った食材の提供がないという(情報が)あった。インドの人たちが食生活、食卓で困らないような商品を限定的だが一部置いている
スティーブンさんとヴィシェシュさん夫婦
2025年1月に来日したインド出身のスティーブンさんとヴィシェシュさん夫婦。
日本に来て以降、なかなか味わう機会がなかった馴染みの食材や菓子に目を輝かせます。
インド出身・スティーブンさん:
イイデス。このスナック菓子はおいしいし、インドで親しまれているが(今は)手に入れられない。店もとても大きい
スティーブンさん
現在、浜松市内の企業でアプリを開発するプログラマーとして働いているスティーブンさん。
まだ日本語をほとんど話すことが出来ないことから仕事をする上では苦労の絶えない日々ですが、一方で日本人の親切心に救われていると話します。
インド出身・スティーブンさん:
言語の壁があり、相手との溝を埋めるために努力をしなければならず、少し難しい。
でも、日本人はとても歓迎してくれていて、僕が働きやすいかどうか確認してくれる
買い物するスティーブンさんとヴィシェシュさん
休日は市が開いている講座で日本語を学ぶと共に市内を散策。
観光地に足を運んだり、夫婦で浜松のグルメを堪能したりと日本での生活を満喫しています。
インド出身・スティーブンさん:
中田島砂丘に行ったが、いい経験になった。浜松まつりの凧揚げも見てとてもよかった。たくさんの屋台が並んでいたので探索を楽しんだ
浜松に住んで半年余り。
仕事も生活もだいぶ落ち着きましたが、時折、故郷のことを思い出すだけに手軽にインドの食材を買える場所があることは心の安定につながっています。
インド出身・スティーブンさん:
インドで食べられているものはどこにでも売っているわけではなく、オンラインで販売しているものを買う必要があった。ここ(遠鉄ストア)はたいていの欲しいものが手に入る
海外からの移住者向け講習会の様子(提供:浜松市)
浜松市では、こうした海外から来た人たちが安心して暮らせるように地域の人たちと交流できる場を設けているほか、買い物や病院など日常生活を送る上で必要なことについて説明する講座を開催。
さらにインターナショナルスクールの誘致にも乗り出していて、こうした官民がそれぞれの特色や役割を生かした取り組みが高度な人材確保につながるのか注目されています。