キャッシュレス決済に異変？国の将来目標は決裁比率80％　年を追うごとに普及が進むも…導入しないワケ・止めたワケ

年を追うごとに普及が進むキャッシュレス決済。国は将来的にキャッシュレス決済の比率を80％まで上げることを目標に掲げていますが、ここに来てある異変も起きています。

【動画】キャッシュレス決済に異変？国の将来目標は決裁比率80％　年を追うごとに普及が進むも…導入しないワケ・止めたワケ

コロナ禍を経て、いまや生活の一部として浸透しているキャッシュレス決済。

大学生（女性）：
PayPayとかですか？使っています。財布持たなくていいし楽だから、あとポイントが貯まるから使っている

大学生（男性）：
自分はPayPayですね、キャッシュレス派。財布を出すのがいちいち手間なので

女性（70代）：
小銭がたまらないしお金を出すのに時間がかからない、ほとんどカードかスマホがあればそれで済んでしまう。切符もSuicaが入っているので

男性（40代）：
“じゃり銭”ってわかります？小銭。例えば1279円とか言われたらじゃあPayPayでという感じ

最近では財布を持ち歩かないという人も珍しくありません。

業務の効率化などを目的に経済産業省ではキャッシュレス決済の普及を後押ししていて
国内におけるキャッシュレス決済の比率は年々上昇。

2024年には42.8％となり、政府が目標としていた40％を超えました。

鈴木櫻子 記者：
新たな当たり前になりつつあるキャッシュレス決済。ただその一方で導入していない店舗があるのも実情です。普及の裏にはどのような課題があるのでしょうか

最近ではキャッシュレス決済を“止める”店もあると言われている背景には何が…。

静岡市葵区にある肉まんと餃子の専門店「神龍」。

支払いは現金のみで売り上げは伝票を1枚ずつ手作業で確認。

これまでに一度もキャッシュレス決済を導入したことがありません。

神龍・大久保浩 店主（72）：
（Q.なぜ導入しない？）勧誘はあるが断っている。手間が増えそうな感じがして。昔ながらのアナログが金銭の整理もシンプルで楽

メニューが限られていて単価が低く、また人手も足りているため業務の効率化が差し迫った課題になっておらず、複数のキャッシュレス決済を導入することで売り上げの管理が複雑化するのではないかという懸念を抱いています。

神龍・大久保浩 店主：
（キャッシュレス決済を）使用する方は便利だが、それを管理する方がちょっと大変かなと。5人に1人くらい現金を持ってない人がいるがごめんなさいという感じ

一方、静岡市駿河区にある「ひとつぼし食堂」。

こちらでは5年前までバーコード決済を導入していましたが、現在は現金払いのみとしています。

ひとつぼし食堂・増井リカ店主：
手数料がかかってしまうので、お客さんに負担をかけないように現金でやらせてもらっている

常連客
PayPayとかの方がいい（笑）お金を持って来なければいけないので（笑）

導入していたバーコード決済の手数料は概ね2％。

利益が目減りしてしまうだけに個人経営で小規模な店にとっては見過ごせない負担でした。

最近では物価高に伴い仕入れ費用も毎月のように上がっていますが、常連客が多いこともあって価格を据え置いておりキャッシュレス決済の再導入には踏み切れません。

ひとつぼし食堂・増井リカ店主：
仕入れ価格もどんどん上がってきている状況。その都度、値上げは厳しいので、なるべく据え置きでできる限りやっていこうかなと。その観点からも負担は少しでも減らしていきたい。手数料の負担がもう少し低くなれば（再導入を）考えてもいいかな

こうした声に代表されるように経産省が実施したアンケートよるとキャッシュレス決済を導入していない事業者の主な理由は「客からの要望がない」「手数料が高い」「導入のメリットが不明・実感できない」の3つが上位を占めています。

利用者にとってはポイントが貯まるなど便利なことも多いキャッシュレス決済。

国は将来的にキャッシュレス決済の比率を80％まで上げることを目指していますが、実現させるためには中小店舗に対するサポートがカギとなりそうです。