女子相撲界のレジェンドで静岡県浜松市出身の野崎舞夏星さんが7年ぶりに現役に復帰しました。現在テレビ局で働く彼女の新たな挑戦に密着です。
浜松市出身・野崎舞夏星さん(29):
あの土俵に上がれる喜びは大きい
浜松市出身・野崎舞夏星(29)。
女子相撲の頂点を決める全日本選手権大会。
喜びも悔しさも味わったこの土俵に彼女は戻ってきました。
初めてレンズを向けたのは中学生の時。
野崎舞夏星さん(当時中学生):
もともとレスリングをやっていて、強くなるために相撲や柔道を始めた
格闘技好きな母の影響でレスリング・柔道・相撲の三刀流。
中でも相撲で才能が開花し、高校では全日本選手権(軽量級)で初優勝、18歳以下の世界選手権では軽量級で日本人初の世界チャンピオンに輝きます。
しかし、栄光の代償は大きいものでした。
脱臼癖のあった右肩。
進学した立命館大学ではケガに悩まされ、手術で骨を移植しボルトで固定して再起を図りましたが、出場すら叶わず。
そして大学4年で挑んだ全日本選手権。
相撲人生の“集大成”と決意を抱いた大舞台も初戦敗退。
まさかの幕切れでした。
あれから7年。
社会人となった彼女はいま、フジテレビで働いています。
取材を受けた経験からスポーツ報道に興味を持ち、ディレクターの道へ。
現在はコンテンツ投資戦略局で番組調整などに携わっています。
そんな中、ある出来事が…。
フジテレビ勤務・野崎舞夏星さん(29):
今年1月に自分の会社でいろいろな問題があった時に、自分の生活や気持ちの変化があっていつもの自分でいられない時に、自分を取り戻すには相撲をやってみようという気持ちが湧いてきて
7年ぶりの現役復帰。
あの全日本選手権に再び挑戦します。
春から稽古に励み、この日は母校・立命館大学に出稽古。
すでに右肩は完治していますが、長いブランクから大学生との“練習量の差”が如実に現れます。
それでも勝機を見出すために…
野崎舞夏星さん(29):
小さく鋭く攻めていくところをとにかく止まらない相撲をとりたい
真剣に相撲と向き合うことで、自分を見つめ直したい。
今では稽古で作ったあざも気にならないほど、勝負師としての野崎舞夏星が戻ってきました。
そして、大会当日。
彼女のそばには浜松に住む母・都世さんが。
母・都世さん:
土俵に立ってキリッと相手を見つめる顔が大好き。燃えている姿が好きなので復帰は嬉しかった
彼女の相撲人生は母と歩んできた歴史。
初めて日本一に輝いた高校時代。
力を出せずに敗れた学生最後の試合。
野崎舞夏星さん(29):
「マナちゃんの相撲をもう1回見たい」と言われることが何度かあって…
あの日、負けたままで終わらせたくなかった。
何度も何度も、戦うイメージを作ります。
そして、いざ土俵へ。
相手は5種目の格闘技をこなす、身体能力の高い高校生。
稽古で磨いた小さく鋭く攻める姿勢で主導権を握ると…
低い姿勢から一気に勝負!押し切るかと思われました。
ところが…
試合勘が足りなかった。
悔しさを滲ませながらもある思いが…。
野崎舞夏星さん(29):
初戦負けで退くようではないと自分のことを思っているので
それは現役続行宣言でした。
その思いを母に伝えると…
母・都世さん:
また負けてもう1回やりたいって、びっくりしましたが嬉しいです。それでも負けずにやりたいって…
野崎舞夏星さん(29):
(いつも)自分のことを思ってくれて…。また4月(の大会)に向けてチャレンジさせてもらえたら良いなと思っているので、みんなに良い姿を見せられるように出直します!
自分を見つけるために決意した現役復帰。
勝利は逃しても、そこには多くの仲間がいて温かい家族の存在に触れました。
転んだって、また立ち上がればいい。
前向きな彼女の眼差しには、勝利に喜ぶ母の笑顔がきっと見えているはずです。