田久保前市長の”卒業証書”提出拒否で強制捜査に発展は? 任意聴取で犯罪の成立を否認も”予告通り”押収拒絶権を盾に拒絶 学歴詐称をめぐり公職選挙法違反や地方自治法違反など8つの事件で捜査

伊東市・田久保眞紀 前市長

市長選に際して報道機関に虚偽の学歴を記載させた公職選挙法違反など、6つの容疑・8つの事件で静岡県警による捜査を受けている伊東市の田久保眞紀 前市長が、事件のカギを握る“卒業証書”について、警察からの提出要請を断ったことがわかった。

田久保前市長の“懐刀”福島弁護士が激白 「全国の弁護士が立ち上がってくれる」 押収拒絶権の行使に自信 権利の濫用との批判に“反論” 「法律家同士フェアにやりましょう」

伊東市の田久保前市長をめぐっては、学歴詐称問題について警察が捜査を進めている。

具体的には、2025年5月の市長選に際して、報道機関に虚偽の経歴を伝え掲載させた公職選挙法違反、当選後に市の広報誌に虚偽の経歴を記載した虚偽公文書作成、虚偽の学歴が記載された市の広報誌を発行した偽造公文書行使等、卒業証書を偽造した有印私文書偽造、偽造された卒業証書を関係者に開示した偽造私文書等行使、正当な理由なく百条委員会への出頭を拒んだ地方自治法違反、正当な理由なく百条委員会で証言を拒否したほか虚偽の証言をした地方自治法違反、百条委員会から求められていた記録を正当な理由なく提出しなかった地方自治法違反の6容疑・8つの事件だ。

いずれも警察が刑事告発を受理している。

警察はすでに市議会関係者への聴取を実施しているが、1月29日には田久保前市長にも出頭を要請し、任意による事情聴取を行った。

ただ、代理人の福島正洋 弁護士によれば、田久保前市長はいずれの事件についても犯罪の成立を否認していて、「構成要件ごとに1つ1つ検討した結果、犯罪の成立を1個1個争っていく。事実は争わないが、法律の解釈として犯罪が成立しないのではないかというのもあるし、そもそも事実ではないものもある」という。

この日、警察は田久保前市長側に対して、事件のカギを握る”卒業証書”の任意提出を検討するよう求めた。

なぜなら、田久保前市長は学歴詐称問題を指摘する告発文が届いた後、市議会の議長と副議長に卒業を示す証拠として卒業証書を開示していた一方、同氏が除籍となった東洋大学は「卒業していない者に対して卒業証書を発行することはありません」との声明を発表しているからだ。

任意提出の要請に対し、福島弁護士は「慎重に検討した上で回答する」と即答を避けたことを明らかにした上で、「田久保氏は公人ではなくなり、一私人として、被疑者という立場で取り調べを受けているので、私が考えることはあくまで“被疑者の利益”という観点から有利・不利を勘案して決めることになる」と話していた。

また、この時、「もちろん(提出は)ないとは言わない」とも述べている。

こうした中、田久保前市長側が2月12日、卒業証書の任意提出を拒否する旨を記した回答書を警察に手渡していたことがわかった。

田久保前市長側が主張するのは“押収拒絶権”だ。

刑事訴訟法 第105条では「医師、歯科医師、助産師、看護師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、公証人、宗教の職に在る者又はこれらの職に在った者は、業務上委託を受けたため、保管し、又は所持する物で他人の秘密に関するものについては、押収を拒むことができる」と規定されている。

このため、福島弁護士は「証拠隠滅の意図はなく、事務所で保管しているので捜査段階では渡せない」との認識を示した。

一方で、刑訴法105条には但し書きがあり「本人が承諾した場合、押収の拒絶が被告人のためのみにする権利の濫用と認められる場合(被告人が本人である場合を除く)その他、裁判所の規則で定める事由がある場合は、この限りでない」とも記されている。

この点について、福島弁護士は以前のインタビューで「被疑者、被告人、いま疑われてる人が、私にそのものを預けた本人である場合は、別にその人の利益を守るために持っていていいということ」と答え、今回の卒業証書が刑訴法に書かれた“秘密”に該当するか否かについても「依頼者から見て、秘密にしてほしいと思っているものが、全部この105条の秘密に該当すると広く解釈されている。これは別に私が言い張ってるだけではなく、今の実務の通説だと理解している」と主張しているが、この押収拒絶権については法曹界でも見解が分かれるだけに、行使が認められるのか認められないのかは大きな関心事となっている。

ただ、いずれにしても今回の提出拒否によって捜査が”新たな段階”へと移ることは間違いない。

田久保前市長側は従前から押収拒絶権の行使をちらつかせていたため、静岡県警にとってはある種”想定の範囲内”かもしれないが、実際に”拒絶”されたことを受け、今後、裁判所に捜索差押令状を請求した上での強制捜査に踏み切るのか注目されている。

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