津波避難施設で見え始めた課題…迫る老朽化の影 東日本大震災からあすで15年 今後必要なこととは? #知り続ける

3月11日で東日本大震災の発生から15年となる中、3回にわたってこれまでの対策や南海トラフ地震への備えを考えます。1回目は津波避難施設で見え始めた課題についてです。

斉藤力公 記者:
去年、完成した静岡県湖西市の命山、通称“今切の丘”。現在は車いすの人などが安心して避難できるよう、避難路の整備が進められています

釣り人:
ありがたい。前は何もなかったから

釣り人:
(命山が)あるところで釣りをするほうが安心

静岡県によりますと、現在、県内に命山は19カ所あり、そのうち18カ所は東日本大震災以降に造られたものです。

15年前、東北の沿岸の町をのみ込み、多くの人の命と日常を奪った津波。

震災後、津波避難タワーも急ピッチで造られ現在120カ所以上に。

しかし、そのほとんどが建てられてから10年を迎え、老朽化の影が迫ってきています。

県外にはこんな施設も…。

千葉県匝瑳市にある津波避難タワーは10年でサビだらけになり、使用が停止されています。

こうした施設の維持・管理の苦労は県内でも見られ始めています。

斉藤力公 記者:
結構白くなっているのはどういう状況なんですか?

湖西市 危機管理課・加藤敬 災害対策係長:
基本的に建物の塗装として茶色に最終的に塗装しているので、現状は表面の塗装が少しはがれているのかなと

湖西市新居に立つ津波避難タワーは設置から2026年で11年。

塗装の剥がれや電力設備の故障など老朽化が進んできています。

市は年に1度の点検で「今のところ問題はない」と説明しています。

湖西市 危機管理課・加藤敬 災害対策係長:
20年・30年経ったあとに、どういった不具合を発見できるかが課題。専門的な業者に一定の期間ごとに点検などを行ってもらう必要があるかが課題だと認識している

問題は浜松市でも…。

住宅メーカーが約300億円を県に寄付して造られた防潮堤、通称・一条堤。

中田島砂丘のところでは強風や観光客の往来で砂が舞い上がり、セメント系の材料が露出する状態になっています。

きれいな砂で覆い直すには住民の力が必要です。

県浜松土木事務所 沿岸整備課・徳増智史 課長:
この防潮堤を造ったときに、みんなでつくろうということで防潮堤を造り始めているので、その気持ちを保ったまま、みなさんで維持・管理していく環境がつくれたら一番理想

タワーも防潮堤も造って終わりではありません。

維持していくための対策が重要です。

静岡大学 防災総合センター・岩田孝仁 客員教授:
何十年間に1回とか、百数十年に1回使うような施設をきちんと維持するのはなかなか厳しい、人工的な構造物で。そういった中で普段、どうやって使いながら将来に残していくか、もう一度ちゃんと議論してもらいたい

防潮堤をつくるかどうか工事用の足場で高さを疑似体験し、議論の末、景観のために見送った地域があります。

飲食店や展望台を備え、観光にも役立つ全国初の施設をつくった地域もあります。

タワーに登るのが困難な高齢者はどうするか。

静岡市では市役所の清水庁舎を新たにつくって、低層部分は津波対策を取り、高層部分はオフィスやホテルにする計画も進んでいます。

静岡大学 防災総合センター・岩田孝仁 客員教授:
どこにどういうリスクが潜んでいるか、何が欠けているのかをきちんと冷静にいまのうちに発見してもらいたい。打てる対策はちゃんと確実に。それをいま心掛ける必要がある。地震がいつ来るか心配するよりも、まずはそこからスタート

震災から15年。

これまでの施設の維持管理と合わせ、地域に合った対策を引き続き進めることが必要です。

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