東日本大震災から3月11日で15年。犠牲者を悼み、自分たちの備えを進める必要があります。そこで東日本大震災以上の被害が想定される南海トラフ巨大地震を改めて考えます。
15年前の3月11日に発生した東日本大震災。
死者はこれまでに災害関連死を含めて1万9782人。
いまも行方の分からない人は2550人という経験のない大災害でした。
50年前に提唱された“東海地震説”。
どの地域よりも対策を取り、「防災先進県」と呼ばれてきた静岡県にとっても大きな衝撃でした。
静大防災総合センター・岩田孝仁 客員教授:
今まで備えてきたことがまったく皆無になってしまうのではないか。そんな恐れが結構いろいろな地域で津波対策をどうするのか、疑問や声が上がりましたね
加藤洋司 解説委員:
南伊豆町の弓ヶ浜です。12年前に伊豆南部・賀茂地区初の津波避難タワーとして整備されたのがこちら。周辺の住宅よりはるかに高く、ステージの高さは海抜15mです
震災以降、津波避難タワーや命山、避難ビルの指定などさまざまな津波対策が進められ、訓練も繰り返し行われてきました。
いま、15年前に起きたことを改めて思い返すことが必要です。
激しい揺れや大津波警報のため、道路交通は大混乱になりました。
スーパーでは、物流の停滞に買いだめが重なり、品不足があちこちでしばらく続きました。
電力供給量の問題から、東部伊豆の東京電力管内で計画停電が行われました。
いつか来る南海トラフ巨大地震。
その規模と被害が東日本大震災を遥かに上回ることを把握し、備えることが必要です。
15年前、長いところでは3分以上続いた揺れ。
震度7を記録した地域について面積を比べると、南海トラフ巨大地震で震度7が想定される面積は96倍に上ります。
また、15分から30分後に到達した津波の第一波は南海トラフ巨大地震では最短2分後。
関東から九州までの広い範囲に及びます。
死者は2万2000人余りと最大の想定が29万8000人、13.5倍の差があります。
全壊・焼失する家屋は12万9000棟に対して235万棟と、18.2倍。
避難者は47万人に対して1320万人が想定され、28.1倍。
なぜこれほどまで違うのか。
そして何が起こるのか。
静岡県立大・東海大・長尾年恭 客員教授:
南海トラフ地震の場合は人口が東北地方の10倍くらいある。300万人と3000万人、影響を受ける人が違う。孤立に対して自分のところで対処しないと数日間はすべてに対して何らかの救援物資が来る事はない
震災後、自衛隊は南海トラフ巨大地震に向けた課題を検証しています。
自衛官の数は22万7000人あまり、教育訓練を受けた予備自衛官を入れても26万6000人余りで、「自衛隊による対応には限界がある」と結論付けています。
移動する経路はどうか。
陸路が寸断された場合、海からの支援は…。
静岡県立大・東海大・長尾年恭 客員教授:
自衛隊は船があっても津波警報が出ていたら海岸に近付けない
東日本大震災で津波警報がすべて注意報になるまで30時間かかりました。
静岡県立大・東海大・長尾年恭 客員教授:
津波警報を出す技術は非常に進んだのですが、解除する技術がなかなか進んでいない。正確に解除してできるだけ早く海からの救援が行えるようにしようというのが、いま、気象庁を含めて最重点の課題
伊豆最南端の町・南伊豆町はいま防災用ヘリポートの増設を目指しています。
救助、支援が遅れる危機感を地域住民に伝え、備えを呼びかけています。
南伊豆町・岡部克仁 町長:
田舎なので井戸がある。区の役員にお願いをして、それぞれの地区で井戸のある家に災害時に生活用水として提供してもらえるか確認してくださいと
井戸の活用と合わせ、備蓄品の高台での保管、通信機器の配備などを進めています。
人口が減り高齢化も進む中、個人の備えと地域の支え合いがこれまで以上に重要です。
静岡県立大・東海大・長尾年恭 客員教授:
15年間で何が変わったかかと言うと、人口減少社会になった、空き家が増えた。かなり深刻な日本の社会の変化。そういうことに対応するのがまだ行政もできてない。人口減少社会における防災をみんなで考える必要がある
東日本大震災よりはるかに厳しい状況が想定される南海トラフ巨大地震。
すぐに助けは来ません、水や食べ物も届きません。
その時、自分や家族、地域を守るためにも備えを進める行動が重要です。