観光地・熱海が“防災スイーツ”を開発したワケ もしもの時に心和らぐおいしさを

静岡県内屈指の観光地として知られる熱海。ただ、観光客が多いだけに、ひとたび災害に見舞われると多くの帰宅困難者が生まれてしまいます。このため、市はこうした帰宅できなくなった観光客に配布するための防災備蓄品を新たに開発しました。

熱海市・斎藤栄 市長(2月27日):
熱海産だいだいチーズケーキの缶詰は熱海の魅力を発信しながら防災と地域振興を両立させる新しい取り組みだと考えている

熱海市が食品関連の企業などと共に2年の歳月をかけて開発した防災備蓄品・だいだいチーズケーキ。

追い求めたのは、万が一の際にも心が安らぐおいしさです。

熱海市観光建設部・立見修司 部長:
交通障害などで特に熱海駅への帰宅困難者の集中が考えられた。そういう人たちがカッカするのではなく、頭を少し冷やしてもらう。落ち着いてもらえるように甘いものがいいのではないかとチーズケーキというものを考えた

2月8日。

強烈な寒波の影響で記録的な大雪となった熱海市。

同じく観光地として知られ隣り合う伊東市では観光客が足止めされ、小学校の体育館などで一夜を明かしました。

避難した観光客:
こんなに積もると思っていなかった。甘く見てた。雪の影響

このように、多くの観光客が訪れる熱海市や伊東市では台風など自然災害によりひとたび交通網が麻痺してしまうと、いわゆる帰宅困難者が大勢出てしまうことが課題となっています。

ケーキを防災備蓄品とするのは全国的にも珍しい試みで、近年スイーツの街として名をはせる熱海らしい取り組みです。

爽やかな酸味と香りを持つ市内で獲れた“だいだい”の果汁を使用していることが特徴で、見た目や味にもこだわり、試作を重ねました。

国分中部・飯原恵之朗さん:
缶詰にすると火を入れて圧力鍋みたいな工程になるので、物が柔らかくなってしまう。それがいい面、悪い面があって、魚ならホロホロになりやすい。メーカーも技術を持っていて非常にいい商品を作ってもらった

缶詰加工されていることで製造から3年間という長期保存が可能で、濃厚なチーズケーキをすっきりとした味わいに仕上げているほか、十分なエネルギー量も確保されています。

熱海市観光建設部・立見修司 部長:
帰宅困難な状況に陥ったとしても熱海のことを悪い思い出ではなく、いい思い出にしてもらうために少しでも心づくしのプレゼントのような形で用意した

全国的に進められている大規模な地震などを想定した帰宅困難者対策。

ただ、一時的な交通網の麻痺に伴い行き場を失った観光客を想定した対策はあまり考えられていないのが現状です。

観光客:
(Q.配られたらどう?)うれしい、甘いものがうれしい

観光客:
ありがたいですね、うれしいです

こうした中、内閣府は2026年1月、大規模地震以外のケースで発生した帰宅困難者対策のガイドラインを公表。

ここでは自治体や交通機関などが連携し、事前に体制を整えておくことが重要とされています。

熱海市・斎藤栄 市長:
災害が起こると心身ともに大きな負担がある。そのような状況だからこそ、甘いものが心を和らげる力を持っている。非常時に少しでも避難している人に安心と安らぎを届ける存在となることを願っている

熱海市では2025年度、まず“だいだいチーズケーキ”を3000個製造し、その後、毎年3000個ずつ追加することで保存期間が過ぎていない缶詰を常に1万個ほど備蓄する考えで、交通網の早期復旧が見込めない場合、観光客に無料で配布する方針です。

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