道の駅 すばしり
静岡県小山町にある道の駅で、前の指定管理者が町と協定を結んだ期間の満了後も施設の明け渡しに応じず、営業を続けている問題で、小山町は退去と土地の明け渡しなどを求めて前指定管理者を提訴することを決めた。
道の駅“居座り”営業の裏に多額の設備投資 指定管理めぐるトラブル 厨房改修に5100万円投じるも回収できず 事業者は費用負担求めるも町は拒否 プロポーザル方式で次の指定管理者が決定済みも引き継ぎできず小山町にある「道の駅 すばしり」の管理・運営をめぐっては、町が観光開発株式会社(小山町)と2026年3月31日までの5年間を指定管理期間とする協定を結び、同年4月1日からはプロポーザル方式による審査を経て株式会社名鉄ミライート社(愛知県一宮市)が新たな指定管理者になることが決まっていたものの、観光開発が施設の明け渡しに応じていないことから、名鉄ミライートが営業できない事態に陥っている。
小山町は4月1日以降、暫定的に町の直営で施設を管理・運営しているが、実態としては観光開発が“居座り”、同社による営業が続いている。
観光開発が「道の駅 すばしり」のホームページ上で公表した声明によれば、同社は小山町と名鉄ミライートに対して「指定期間が満了する日以降、速やかに原状回復工事を行った上で次期指定管理者に引き継ぐ意向であることを1月から伝えていた」という。
しかし、小山町側は人手不足などが影響して原状回復工事の工期が長引き、長期間にわたって道の駅が営業できなくなることを懸念し、観光開発側に対して原状回復義務を免除する考えを伝えた。
このため、観光開発も声明において「協定で定められた原状回復に依らずして、当社が指定管理者となっていた際に小山町の承認の下で当社の費用負担にて価値向上を図った現状の設備も含めて次期指定管理者に引き継ぐことに向けた協議を行っている段階」との認識を示しつつ、「本年1月から協議を開始していたものの現在も協議中であり、原状回復工事を実施するか、あるいは実施せずして次期指定管理者への引き継ぎのいずれとなるかが定まっていない状況」とも述べている。
問題の背景にあるのは観光開発が実施した設備投資だ。
観光開発の代理人弁護士や関係者の話を総合すると、観光開発は「道の駅 すばしり」の指定管理者となった2021年4月1日以降、小山町の了承を得た上で約5100万円を投じて厨房の設備更新や床の張り替えなど施設改修を行った。
ところが、投資費用を回収する前に指定管理を外れることになったため、原状回復しない場合は小山町に費用の一部を負担するよう求めている。
これが観光開発の言う「小山町の承認の下で当社の費用負担にて価値向上を図った現状の設備も含めて次期指定管理者に引き継ぐことに向けた協議を行っている段階」にあたる。
ただ、小山町としては工事を了承したとは言え、自費での施設改修を条件として承諾した経緯がある上、町が依頼して実施した工事でもないため、言うまでもなく支払いを拒否。
このため、観光開発は「当社としては、従前の経緯、現状及び今後の協議も踏まえ、本件の協議を依頼している弁護士と相談の上、道の駅としての機能を維持し、地域経済への影響を最小限とすべく、その趣旨を示した上で、本年4月1日以降も暫定的に本道の駅の営業を継続している」と主張し、取引先に対しても「弁護士の見解に基づき、町との協議状況に照らして営業継続は妥当であると判断しております。従いまして、お取引先様との取引関係及び決済等についても、これまで通り滞りなく継続させていただきます」などと記した書面を渡している。
こうした中、小山町は法的手段による解決に向けて動き出し、同町の町議会は4月27日、町が観光開発に対して訴えを起こすことを全会一致で承認。
小山町は現在、提訴の内容について最終調整を行っているが、担当者によると、退去と土地の明け渡しと共に未納が続いている2025年11月分~2026年3月分の施設使用料 約800万円の支払いを求める考えだ。
また、小山町は早期の明け渡しに向け、退去及び土地の明け渡しの仮処分も申し立てる方針で、込山正秀 町長は「公有財産の適正管理および公平性の観点から、法的手続きにより解決を図る必要があると判断した。今後は、地域振興や来訪者サービスに影響が生じないよう、できる限り早期の解決を目指す」とコメントしている。
アクセスランキング