開廷前の法廷内(5月27日)
長男に暴行を加え、死亡させた罪に問われている男の裁判員裁判で、検察側は懲役7年を求刑した。これに対して、弁護側は懲役6年が妥当と主張している。
傷害致死罪で起訴されている磐田市に住む無職の男(26)は2025年1月、自宅で長男(当時3)に激しい暴行を加え、死亡させた罪に問われている。
検察によれば、男は育児や夫婦関係の悪化によるストレス・不満の矛先を長男に向け、1カ月以上にわたって日常的に暴力や暴言を繰り返していた。
事件当日は、男からの問いかけに対し、長男が「大便をしていない」旨を答えたものの、実際にはしていて、おむつを脱いだ際、床に便が飛び散ったことに男が激高したという。
当時、妻は仕事のため外出していて、男は長男がおむつを脱いだ途端に腕をつかんだ上、腹部を拳で2回殴った。
これにより長男の肝臓はほぼ真っ二つに断裂し、解剖所見では「腹部に対して自動車での交通事故や高所からの転落に匹敵するほどの極めて強い力が加わった」とされている。
しかし、男は長男の異変に気づきながら、深刻な状態に至るまで2時間以上も放置。
長男は薄れゆく意識の中でも、心配をかけないよう最後まで「大丈夫」と返事をしていたそうだ。
男が119番通報したのは連絡がついた妻から電話するよう言われたからであり、搬送先の病院では当初、自己保身から「長男が階段から転落した」と嘘の説明をしていた。
長男には発達障害や知的障害の疑いがあり、成長の遅れから食事や着替えがなかなか上手くできず、このことは男も認識していながら日常的に「何回同じことを言われてんだ」「だからお前はバカなんだよ」などと暴言を吐いていたほか、しつけと称して暴行を繰り返し、長男の全身からは受傷の時期や原因が異なる皮下出血等が多数確認されている。
このため、2024年12月には妻が「虐待レベル」と男の母親に相談し、本人に注意をしたものの「痛みを感じさせないとわからない」などといって暴行を繰り返していたことがわかっている。
5月27日の公判で、検察は「暴行が一方的かつ強度で危険」と指摘した上で、動機についても「短絡的で身勝手」と非難。
また、しつけの域を超えた一方的な虐待行為が繰り返され、妻も「男には最大限長い期間、刑務所に入って欲しい。したことの重大さを一生背負って欲しい」と話していることなどを理由に懲役7年を求刑した。
これに対し、弁護側は犯行の3カ月前に適応障害と診断されるなど、男が犯行当時、精神的に非常に不安定な状態で、男自身も幼少期に父親から暴力を受けてきたことなどから懲役6年が妥当と主張している。
判決は5月29日に言い渡される。
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