田久保眞紀 被告
伊東市の前市長・田久保眞紀 氏の学歴詐称問題について、静岡県警は6月4日、公職選挙法違反など3つの容疑で追送検し、一連の捜査を終結させた。追送検された容疑について静岡地検がどのような判断を下すのかわからないが、田久保氏は既に地方自治法違反などの罪で在宅起訴されていることから、舞台は法廷へと移る。
田久保前市長の“懐刀”福島弁護士が激白 「全国の弁護士が立ち上がってくれる」 押収拒絶権の行使に自信 権利の濫用との批判に“反論” 「法律家同士フェアにやりましょう」2025年6月初旬。
伊東市の市議会議員全員のもとに1通の告発文が届いた。
「東洋大学卒ってなんだ!彼女は中退どころか、私は除籍であったと記憶している こんな嘘つきが市長に選ばれるなんて信じられない!議会に真実の追及を求める!※こんな嘘つき、卒業証書の偽造には注意を」(原文ママ)
“彼女”とは、その約1週間前に3期目を目指した現職を破って伊東市長に初当選したばかりの田久保眞紀 氏のことを指す。
田久保氏は、市長選の立候補にあたり報道機関から要請された経歴調査票や当選後に発行された市の広報誌に「東洋大学法学部卒業」と記載していたからだ。
これにより、多くの市議から疑念の目を向けられる中、田久保氏はすぐさま“ある行動”を見せる。
6月4日、議長室を訪れた田久保氏は中島弘道 議長と青木敬博 副議長を前に卒業証書なる書類を示した。
これが、後に「卒業証書19.2秒」として伸吾・流行語大賞のノミネート30語に選ばれた、いわゆる“チラ見せ”だ。
しかし、市議たちが追及を緩めることはなかった。
これに対し、田久保氏は一貫して疑惑を否定。
ところが、7月になると一転して除籍の事実を認めた。
それでも、正副議長に見せた卒業証書はあくまでも“本物”という認識を強調。
こうした中、市議会は百条委員会を経て、9月と10月の2回にわたって不信任を議決し、田久保氏は市長の座を追われた。
一連の学歴詐称問題をめぐっては複数の刑事告発が受理されていて、田久保氏の失職後、警察による捜査が本格化。
2026年2月14日に自宅の家宅捜索が行われると、3月30日には静岡地検が地方自治法違反と有印私文書偽造・同行使の罪で在宅起訴した。
起訴状によれば、田久保被告は当選直後に東洋大学の卒業証書を模した書類を“自作”。
その際、インターネットで購入した学長名と学部長名のハンコを押印したという。
また、偽造した卒業証書を正副議長や市職員に卒業の”証拠”として示したほか、2025年8月13日に開かれた百条委員会では、以前から大学を卒業していない事実を認識していたにもかかわらず、「私が除籍である事実を知りました、つまりは卒業できていないという事実を知りましたのは、6月の28日、大学の方に訪れた時になります」などと記憶に反した虚偽の証言をしたとされている。
在宅起訴を受け、田久保被告側は異例とも言える公判前整理手続の実施を静岡地裁に請求。
公判前整理手続は法廷での審理を前に検察官と弁護人が争点や証拠について事前に調整・整理する手続きで、争点の絞り込みや証拠を取捨選択することにより審理の円滑化を図る目的などがある。
田久保被告側には検察の主張や証拠類など“手の内”を探る狙いがあると見られるが、地裁が5月18日に請求を認めたため、現時点で初公判の期日は決まっていない。
こうした中、静岡県警は6月4日、田久保被告が報道機関に虚偽の経歴を伝え掲載させた公職選挙法違反、市長当選後に市の広報誌に虚偽の経歴を記載した上で発行した虚偽公文書作成・同行使等、百条委員会に正当な理由なく出頭を拒否したほか、証言を拒んだり、求められた記録を提出しなかったりした地方自治法違反の3容疑で静岡地検に追送検し、一連の捜査を終結させた。
奇しくも6月4日は、あの“チラ見せ”からちょうど1年となる日だ。
今後、静岡地検が追送検された容疑についてどのような判断を下すのか今のところわからないが、少なくとも在宅起訴されている事件については裁判が開かれるわけで、田久保被告がどのようなことを口にするのか。
市役所を訪れた市民に話を聞くと、ある男性は「嘘つきはダメ」と一刀両断し、ある女性はこう言った。
「裁判で誠実な対応をしてほしい」
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