
2025年5月4日放送
- 会場
- プティ森町園(周智郡森町)
- 講師
- 大豆生田啓友、平野ノラ
プロフィール
■大豆生田啓友(玉川大学教授)
1965年生まれ。青山学院大学大学院修了。専門は乳幼児教育、子育て支援。二男一女の父。
■平野ノラ(タレント)
1978年生まれ。2014年、バブリー芸人として大ブレイク。2021年に娘が誕生。一児の母。
第 2430 回
子どもってすごい! ~その瞬間は宝物~
司会:
「子どもってすごい!」という瞬間について、乳幼児教育の専門家・大豆生田先生と、タレントの平野ノラさんに伺います。
ノラ:
4歳になる娘に相撲の番組を初めて見せた時です。相撲の仕切りを娘がじっと見て、「2人で一緒にウンチしてるのかな?」って言ったんです。大人じゃ絶対にない、すごい見方、発想ですよね。
大豆生田:
年齢的に、トイレがとても大きなテーマで、そこから世界を見ているんです。大人はそこから見ないですよね。
ノラ:
確かにいま、ちょうどオシメが取れるかどうかの狭間にいるので、そう見えたんでしょうね。「あ、2人でやることもあるんだ!」って。
大豆生田:
未来を考えていく上で求められることの一つが、これまでの発想を超えていくってことですよね。子どもは軽々と超えていきます。まさにこれからその発想の力は、本当に大事なところだと思います。今、例えば生活発表会などで大人が全部決めてしまわないで、子どもたちに何がしたいか聞く園も増えてきています。
ノラ:
他にも、娘が3歳になって始めた塾の宿題をだんだんやらなくなったんです。ある日塾に向かいながら、「今日も『宿題やってないです』って先生に言うのか」って私がぼそっと言ったら、娘が着いた瞬間に「先生、宿題一つもやってません!」ってものすごく大きな声で言ったんです。先生もびっくりしちゃって、「そんな風に言われたら先生何も言えないよ。いいよ、別にやってなくて」って言ってくれて。多分娘は私の気持ちを感じて、自分で大きな声で堂々と伝えたんです。すごいと思いました。
大豆生田:
最近の研究で、いわゆる「非認知能力」ですけれど、楽観性、つまり「まあいいか」と言える「根拠のない自信」みたいなものは、育っていく上でも幸せに生きていくためにもすごく大切な力だと言われています。周りも「まあ仕方ない」みたいなことって大事なあり方で、家でいつも「ダメじゃない」と言っていたら、「一つもやってきませんでした」とは言えなくなっちゃうんですよね。そういう意味で言うと、やっぱりどこかでノラさんが寛容なんですよね。
ノラ:
私が育児に仕事に一生懸命な時に、どこで覚えたのか娘がたまに「まあいいか」って言うんです。「そうだね、まあいいよね」って気持ちがすごく楽になったことがあって。過去に何度もその言葉に救われています。
司会:子育ては大変なこともいろいろありますけれど、子どもからもらう幸せって大きいですよね。
ノラ:
「生きているだけで絶え間なく幸せ」という実感をしたのが、子どもを産んでからなんです。「毎秒幸せ。離れていても幸せ」というのを初めて感じて、すごいなと思いました。
大豆生田:
本当に、大人は子どもを育てているように思うけれど、子どもは本来前向きな人たちで、僕らはそこから幸せをもらっているのだと思います。それは親に限らず、おじいちゃんおばあちゃんでもそうかもしれないし、近所のおじちゃんおばちゃん、ボランティアで子どもに関わっている人、いろんな人たちが、本当はもっともっと子どもから幸せをもらえるはずだと思っています。