
2025年10月19日放送
- 会場
- テレビ静岡(静岡市)
- 講師
- 外科医・作家 中山祐次郎
プロフィール
1980年神奈川県生まれ。鹿児島大学医学部卒業。2021年より湘南東部総合病院外科に勤務する。年間約200件の手術を執刀する傍ら執筆した小説「泣くな研修医」シリーズはベストセラーに。
第 2454 回
人生の扉をひらく鍵
私は外科の医師として勤務しながら、作家の仕事をしています。また、5歳と2歳の子どもの父親でもあります。今回は「医者の父が息子に綴る、人生の扉を開く鍵」という本の中からいくつかお話をさせていただきたいと思います。
私は、人生にはいろんなステージがあり、ステージとステージの間に大きな壁があると思っています。その壁には扉があって、その扉をあけるための「鍵」をこの本の中にたくさん記しました。この本を読んだからといって人生の壁を全部乗り越えられるわけではなく、「その鍵を使って扉をひらくのはご自身ですよ」という思いも込めて、伝えます。
【超えなければならない壁にぶつかったらどうするか】
私は記憶力がとても悪いです。高校生の時に、スピードも量も、他の人の半分くらいしか覚えられないことに気づきました。でも、私はどうしても医者になりたかったので、それなりに難しい大学受験を突破する必要があります。どうすればいいのか考えて、「人の倍の時間をかけて、何度も暗記するしかない」と思いました。その後、2年間の浪人生活を送りましたが、どんな時でも単語帳を持ち歩き、勉強し続けて、なんとか医学部に入ることができました。
なりたい自分と、今の自分の「ギャップ」を埋める方法は、人に相談しても教えてもらうことはできません。なぜなら、人によって学力も、性格も、生活スタイルも違うからです。自分に何が足りないのか?どうやったら自分はうまくいくのか?自分の頭で考えて、作戦を練る必要があるのです。時には信頼できる人に作戦を聞いてもらいながら、あとはがむしゃらに努力をするだけです。
【青春時代は何かに『熱中』せよ】
私は中学から大学までサッカー部に所属していました。どうすれば試合に勝てるのか考えたり、本を読んだり、上手な人に話を聞きに行ったり、本当にサッカーのことばかり考えていました。医者を目指しているのにサッカーに熱中することは一見、無駄なことに思えます。でも、無駄なことに一生懸命になる、無駄なことを熱中して頑張るということはとても大切だと私は思います。なぜなら、その頃の思い出が、それからの何十年という長い人生を支えてくれていると感じるからです。また、熱中する中で味わった挫折・失敗の経験は、自分の心を強くしてくれます。専門的な言葉でレジリエンスと言いますが、硬い木であればポキッと折れてしまいますが、しなやかな木であれば一度たわんでまた戻ってくることができます。そういったしなやかさを得ることができるのは、何かに熱中して失敗した経験のおかげだと私は思っています。
【今やりたいこと、本当にやっているの?】
やりたいことが見つからないという時は、自分にこんな質問をしてみてください。「もし、来年死んでしまうとしたら、今年何をしますか?」これが想像しにくかったら、来年もし「自由に出かけられなくなったら、どこに行きたいですか?」「目が見えづらくなるとしたら、どんな景色を見たいですか?」という感じで、かみ砕いて考えてみてください。そこで見たいもの会いたい人が、本当にあなたが見たいもので会いたい人だと思うんです。
自分の本音を知るということは、そんなに簡単なことではありません。しかし、今やりたいことを本当にやるために厳しい自問自答をしてみてはいかがでしょうか?
■番組で紹介した本
「医者の父が息子に綴る 人生の扉をひらく鍵」
著:中山 祐次郎(あさま社)