2025年11月30日放送

会場
蒲原生涯学習交流館(静岡市)
講師
オノマトペ研究者 藤野良孝

プロフィール

1977年東京都生まれ。朝日大学保健医療学部教授。オノマトペの実態とその効能について多角的に研究。日々の暮らしの中でオノマトペを役立ててほしいと、書籍や講演などを通じて利用法の普及につとめる。

第 2460 回
マイナスな心の片づけかた

オノマトペとは、「わんわん」「キラキラ」といった擬音語と擬態語を総称した言葉です。オノマトペを口にしたり、頭の中でイメージしたりすると、脳の線条体というやる気を司る部位が活性化することが最近の研究でわかっています。

小さい頃、ブラックコーヒーを飲んで「苦い!」と思ったこと、ありますよね。でも、今は美味しく飲めていませんか?それはコーヒー自体の味が変わったのではなくて、ミルクや砂糖などを使って苦みを和らげる工夫をすることで、自分の解釈が変わったからなんです。人生にも同じことが言えます。人生にはたくさんの苦みがありますが、ちょっとした工夫で気持ちを和らげることができます。その工夫のひとつとして、オノマトペを使ってマイナスな心をプラスに変える方法をお伝えします。

たくさん悩みを抱えている時って、なかなか元気が出ないものです。でも、悩みにはすべて意味があって、「自分はこんな時に悩むんだ」と知れただけでも前進していますから、まずは悩んでいる自分を受け入れてあげてください。そして、そこから立ち直るためには「のびのび」というオノマトペを言いながら両手を上にあげてみましょう。手を上にあげる行為は、心理学的にもすごく前向きになりますし、体がほぐれてリラックスできます。

次に、「明日やればいいや、今度にしよう」こんな言葉が出た時は気持ちがマイナスに傾いているかもしれません。こんな時は「ガラッ」というオノマトペを使って、気持ちを切り替えましょう。心の中で「ガラッ」と言うだけです。私の場合は、「あの人だったらこうやって考えるだろうな」と、憧れの人の思考を借りて、自分の意識をガラッと変えるようにしています。そうすると、マイナスな気持ちがプラスに変化します。

それでも時には、いつまでもクヨクヨしてしまうこともありますよね。クヨクヨをできるだけ早くなくすために有効なのが「スーッ」と言って、広い空を見ることです。「スーッ」と言う時は、お腹の奥から嫌な気持ちをスーッと出すようにしてみてください。広くて大きい空を見ると、自分の悩みが小さく感じられてきて、肯定的な感情が出てきて、前向きになれます。

オノマトペは発したり、頭の中でイメージしたりするだけで、気持ちが切り替わって心にエネルギーが満ちあふれてくる言葉です。マイナスな心をプラスに変える方法として、オノマトペを習慣化して、毎日をほっこりハッピーに過ごしてほしいと思います。

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