2026年1月25日放送
- 会場
- 浅羽東コミュニティセンター(袋井市)
- 講師
- スポーツ心理学者・博士 田中ウルヴェ京
プロフィール
ソウル五輪シンクロ・デュエット銅メダリスト。米国大学院修士修了(スポーツ心理学)。慶應大学にて博士号取得(システムデザイン・マネジメント学)。慶應義塾大学特任准教授。トップアスリートや経営者など幅広く心理コンサルティングに携わる。一男一女の母。
第 2466 回
考え方のクセを活用する
物事をどう捉えるか、その捉え方の傾向は人によって違っていて、心理学では「考え方のクセ」と言います。クセは修正した方がいいと思われがちですが、実は上手に付き合えば活用できることもあるのです。
では、どうすれば自分の「考え方のクセ」に気づけるのか?ポイントは「独り言」です。つい心の中で言ってしまう「独り言」を思い出してみてください。
例えば誰かに注意された時、「そんな強く言わずに、もっと優しい言い方をするべきだ」と心の中でつぶやいてしまう、これを『べき思考』と言います。あるいは、「どうせ私なんて」と自分を責めて落ち込んでしまう『どうせ思考』。注意されないように完璧にやりたいと頑張り過ぎてしまう『完璧思考』など。レジ待ち、車の運転、スポーツ、仕事、日常の中でいろいろなクセや傾向を見つけることができます。
私たちは、ちょっとした出来事で済むことを「考え方のクセ」で大きな事実にして、自分をネガティブにさせてしまうこともあるんです。捉え方によっては、たかが順番待ち、たかが渋滞。出来事そのものというよりは、「考え方のクセ」によって、自分で自分をイライラさせたり、落ち込ませていたりします。人からみれば大した失敗じゃなくても「もう挑戦するのはやめよう」と諦めてしまうような、もったいないことが起きることもあります。
こう言われると、「考え方のクセ」は弱点のように思えて、気づきたくないと感じるかもしれません。でも、自分のクセに気づく練習をし続けていると、大事な場面での行動が変えられるようになります。これが「考え方のクセ」に気づくことの大切さです。
『どうせ思考』の裏には「人に信じてもらいたい」「助けてもらいたい」という気持ちが隠れていたり、『完璧思考』になるのは「人の役に立ちたい」「認めてもらいたい」という思いが強いからこそだったりする。実は「考え方のクセ」って、自分を守る鎧なのかもしれません。こんなふうに「本当の理由」を見つけられるようになると、自分の行動と思考を変えられる、エネルギーの1つとしてクセを活用できるようになります。
そして、「考え方のクセ」の裏側にある「本当の理由」を人に話せるようになると、「育った環境や文化が違っても、みんな頑張って生きていて、本当は人の役に立ちたかったり、協力したかったりするんだな」と気づくことができます。そうすると、人に優しくなれるだけでなく「じゃあ、どうすればいいか?」という行動変換もできるようになって、自分の中の「根拠のある自信」にもつながります。自分の「考え方のクセ」を見つめ直し、上手に活用してみてはいかがでしょうか。