2026年2月8日放送
- 会場
- 原地区センター(沼津市)
- 講師
- 教育評論家 尾木直樹
プロフィール
1947年滋賀県生まれ。早稲田大学卒業後、教師として22年間子ども主役の教育を実践。その後大学教員に転身し22年教壇に。現在は法政大学名誉教授、臨床教育研究所「虹」所長。
第 2468 回
不登校問題を考える
子どもたちを取り巻く環境は時代と共に変化していて、そのひとつに不登校の問題があります。2024年度には不登校の小中学生は約35万人と、過去最多となりました。高校生まで入れると42万人を超え、今や不登校は特別なことではなくなってきています。
教育に関する法律に「教育機会確保法」というものがあります。より良い学校づくりを目指すだけでなく、ひとつの権利として「学校を休んでもいい」ということが明確にされました。そして、学校に行けなくても学びの機会を確保できるよう様々な支援が行われています。政府や自治体によって不登校への対策が進められるなか、家庭ではどう子どもたちと向き合っていけばよいのでしょうか。
私も、娘が小学4年生のころに「このままいったら不登校になるな」と感じたことがありました。そんな時、家庭で子どものストレスを解消しようとやってみたのが、リフレッシュ休暇です。日にちを決めてカレンダーに花まる印をつけます。その日は「学校をサボる日」。親子で一緒に出掛けてリフレッシュして、また学校に行ければいいなと考えたんです。そうすると、娘は花まる印のついた日をすごく楽しみにして、毎日元気に学校へ行くようになりました。
家庭で親が気を付けるポイントが3つあると私は思っています。
1つ目は「押し付けない」。義務教育の「義務」は、実は子どもの義務ではなくて、親の義務なんです。だから学校へ行くことを押し付けず、家庭や図書館など、学校以外であっても学びからは遠ざからないように、別の居場所を作ってあげることが大切です。
2つ目は「親が一人で抱え込まない」。子どもが学校へ行かないと、親も思いつめてしまいがちです。今は「不登校の親の会」というものが各地にあります。同じ経験をしている先輩からアドバイスをもらえたりして安心できます。「自分一人で抱え込んで孤立しない」ということが大切です。
3つ目は「しっかり話を聴く」。「聞く」ではなく、しっかりと「心」を受け止めて「聴く」ということが大切です。子どもの悩みや苦しみを、親である自分が解決はできないにしても、気持ちに共感してしっかりと受け止める。「自分はあなたの味方だよ」という気持ちを積極的に態度にも示してほしいと思います。
今の10代、20代を象徴するキーワードは「生きづらさ」だと言われています。コロナの影響で人と距離を置くことを余儀なくされ、ネット社会で誰かにいつも見られているような環境の中で育ってきました。心が弱いわけではなく、敏感で繊細なんです。子どもも親も無理してがんばり過ぎず、休んだり立ち止まったりする時間があってもいいと思います。いろんな選択肢を探りながら、親子で歩んでほしいと思います。