2026年5月24日放送

会場
御前崎市民会館(御前崎市)
講師
歌手・教育学博士 アグネス・チャン

プロフィール

香港生まれ。1972年「ひなげしの花」で日本デビュー。
上智大学、トロント大学を経て米国スタンフォード大学へ。
現在、歌手活動のほか、ユニセフアジア親善大使、
日本対がん協会「ほほえみ大使」などとして活躍。

第 2483 回
AI時代の家庭教育

私たち人間がこれまで学んだことを人工知能が学び、そしてそれが生活のあらゆる場面で使われていく、このAI時代。技術の発達が、積み重ねではなく掛け算のように進み、人類の文化のうえでも大きな転換点ではないでしょうか。そんな今だからこそ「教育」がとても大事になってくると思います。もちろん学校もそうですが、子育ても肝心で、家庭教育の中で「子どもの底力を上げる」ために何が必要なのか考えてみました。
 
【好奇心を育てる】
ご飯を作っている時に子どもが質問してくると、こう答えていませんか?「ママ今ご飯作ってるでしょ、ちょっと待ってて」って。すると、子どもは「あ、ママの邪魔になってる。いま質問しちゃダメなんだ」と感じて、なにか質問がある時でも飲み込んだ方がいいと覚えてしまいます。これが好奇心へのダメージです。
私は子どもが何か聞きに来たらすぐに手を止めて、「よく聞いてくれた!」とまず褒めます。褒めてから、「ママも答えがわからないのよ。じゃあ一緒に探しに行こう」と声をかけます。子どもは、「ママはすごく喜んでくれた。またいろんな質問を持ってこよう」となる、これが好奇心を育てるんです。
好奇心のある子は疑問も多い。そして、答えを探していくうちに自分で学ぶことがわかり、自分で学べなかったら人に聞く技術を身につけていきます。そうすると、たくさんの情報を吸収し、引き出しが増えるんです。
 
【失敗をたくさん経験させる】
私たち人間は失敗します。失敗から新しいものが生まれ、さらに成長していきます。だから、子どもたちにも失敗する経験をたくさん与えてあげてください。
ボードゲームでも、じゃんけんでも、私はわざと負けたりしません。必死でやります。息子たちは最初は悔しくて泣いて、そして一生懸命やって私に勝つんです。悔しがらない人生では、成功の味がわかりません。子どもたちには、転んで痛みを感じて、失敗して悔しくて、泣いてわめいて、そして喜んでほしい。気持ちが動くことで人間が育っていくのです。だから、たくさんたくさん失敗を重ねて子どもを育ててほしいと思います。
 
【賢い選択をできるように】
人生は選択の連続です。今日の選択が明日に影響する。明日の選択が明後日に影響する。賢い選択をする人は、どんどん人生が良くなっていきます。まずは子どもに選択させて、それを尊重しましょう。もし選択を間違っても、失敗を体験させる。何が大事なのか、何が大事じゃないのか見分けられて、だんだん賢い選択ができるようになっていきます。
AIだって間違えることがあります。でも見分けができる子だったら鵜呑みにしないで自分で掘り下げて調べられますし、賢い選択ができるようになるんです。
 
子育てで私が目標にしているのは、「心の強い子」になることです。それは、人を思いやる心、人を愛する心でもあります。これは赤ちゃんからお年寄りまで、みんなが持っている力ですが、筋肉と一緒で使わないとどんどん弱くなっていきます。人間性、人間らしさがAI時代で勝ち抜く大切な部分です。どうやって幸せになっていくのか、人生を楽しむのか、強い心を育み前向きに考えていけたらと思います。

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