2026年6月7日放送
- 会場
- テレビ静岡(静岡市)
- 講師
- 歌手 加藤登紀子
プロフィール
1965年、東京大学在学中に
第2回日本アマチュアシャンソンコンクールに優勝し歌手デビュー。
「知床旅情」はレコード大賞歌唱賞を受賞。
現在も国内外のコンサートで観客を魅了し続けている。
第 2485 回
「さ・か・さ」の学校
私は2025年に歌手活動60周年を迎えました。 決して生易しくはない60年でしたが、ポジティブに乗り越えてきた秘訣があります。それは、大変なときこそ常識や教えを「さ・か・さ」にひっくり返して考えてみることです。そのヒントは砂時計でした。ひっくり返したとき、嬉しそうに勢いよく砂が落ちる、あのイメージです。砂時計はさかさにしないと新しい時間が始まりません。自分の意識の中で、何か行き止まりにいると感じたら「砂時計が全部落ちたんだ」と思って、さかさにしてみる。そんな逆転の発想についてお話したいと思います。
【人の話は黙って聞かない】
「人の話は黙って聞け」というのが世の中の教えですが、私は黙って聞かないでほしいんです。人の話を真剣に聞いていれば、「違うわ」とか「そうかしら」とか、心の中で声が上がります。生きている間はあらゆる瞬間が人とのキャッチボールです。相手をちゃんと見て、自分が伝えたいことを届ける「対話」が大事だと思います。
【急ぐときは ちゃんと急ごう】
急いでいるときこそ落ち着きなさい、という意味で「急がば回れ」と言いますよね。確かにその通りです。でも「急がば回れ」と言っている場合じゃないときがあります。何かが起こったときに驚いている暇はありません、1秒後には動いてなきゃダメなんですよ。プロフェッショナルとは、目の前でお茶がこぼれた時に、どっちに流れていくかを分かって動ける人です。どうすれば正しく急げるのかを分かっていることが大事です。
【困ったときは笑ってしまおう】
本当に大変なときは、「わぁ大変、笑っちゃうわね」って言って笑うの。やっぱり人生は楽しい方がいい。何かの高みを目指すと生きることが複雑になってしまうけれど、大変な時ほど笑って、楽しく楽に生きたらいいんです。そうすると状況を客観的に見ることができます。
時代が変わると、その流れとともに物事の価値が逆転することがあります。「これは自分の果たすべきことだ」と思ってきたことが無意味に思えたり、なんでこんなことに頑張ってきたのかと思ってしまったり、それはすごく辛いことです。だけど、辛いときこそ「さ・か・さ」のマインド。苦しみや心配がない方がいい、というわけではなくて、ちゃんと苦しんで激しくめげるから、人は発奮できるんです。