2026年7月12日放送

会場
テレビ静岡(静岡市)
講師
教育評論家 親野智可等

プロフィール

1958年静岡県生まれ。公立小学校で23年間教師を務める。
教育現場で親が子どもに与える影響の大きさを痛感。
教師としての経験と知識を子育てに役立ててもらいたいとメールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行し、評判となる。

第 2490 回
好きだから頑張れる

「子どもの成績を上げたい、勉強好きにさせたい」と多くの親が悩んでいますが、子どもは好きじゃないことは積極的に取り組みません。子ども自身で「やる気のスイッチ」を押すために、親はどんなことができるのでしょうか?
 
【好きな遊びをたっぷりすると、学力が伸びる】
これは発達心理学の研究でわかっていることで、いわゆる難関大学や国家資格に合格した子どもの親に「幼児期の子育てで大切にしていた事は?」と質問したところ、「本人が好きな遊びを思い切りさせた」という答えが圧倒的に多く、好きな遊びをすることで「非認知能力」が伸びて学力の向上に役立った、という研究結果が出ています。「非認知能力」とは、テストなどで数字化できる「認知能力」とは違い、数字化できない能力のことで、「やりたいことを見つける能力」「試行錯誤してやり遂げる能力」「コミュニケーションをとる能力」などが挙げられます。子どもが夢中になって何かをしている時は、脳が育って頭が良くなっている真っ最中です。好きなこと、好きな遊びをする時間をたっぷり持てるようにしてあげてください。
 
【好きなことに才能が眠っている】
子どもには、生まれながらに「資質=才能と性格」が備わっていて、絵を描くのが好きな子もいれば、体を動かすのが好きな子もいます。親はそれをよく理解することが大切です。今はライフスタイルにも仕事にも多種多様な価値観がありますから、わざわざ苦手なことを続けるより得意なことで勝負した方がいいと私は思います。まずは親が「生まれつき勉強が好きで得意な子もいるけど、そうじゃない子もいる」ということをしっかりと認識して、子どもの好きなことを応援してあげてください。その中に才能が眠っている可能性が高いと思います。
 
【一点突破・全面展開】
得意なことが多くない子は、一点突破を目指すことを勧めます。これは私自身の話ですが、小学校を卒業するまでは勉強も運動も得意ではなく、子どもながらに「こんなことじゃいかん」と思っていました。そこで、中学校から英語だけを一点集中で頑張ることにしました。「英語だけの天才」というあだ名がつくほどの努力の甲斐あって、中学三年間、英語だけは良い成績を収めることができました。不思議なことに、一点を突破することで自信がついて「他のこともできそうだ」と思えてくるんです。親はどうしても平均的に底上げしようとしてしまうんですが、もともと好きなことを伸ばした方が、苦手なことにもチャレンジする力になる。それは勉強でなくても音楽や図工や体育、釣りなどの趣味でもいいと思います。
 
習い事ひとつ見ても、昔と違って今はいろいろなものが選べますから、試してみるなかで好きなものが見つかれば、本人がやる気をもって取り組み自然と伸びていけます。途中で飽きてしまっても、それは無駄ではなく引き出しが増えるということ。子ども自身が本当に好きと思えるものに出会えることが何より大切です。そして親は「あれを目指せ」と指示をする監督ではなくて、子どもの好きなことを頑張れるように「応援団」になっていただきたいと思います。

過去の放送一覧に戻る