2026年8月30日放送
- 会場
- 雄踏文化センター(浜松市)
- 講師
- ハッピートークアカデミー協会 代表理事 池崎晴美
プロフィール
フリーアナウンサーとしての経験を経て現在は「言葉の力」をテーマに、
企業や小中学生などに授業を実施。
独自のメソッド「ハッピートーク」を考案し、前向きな言葉の力を全国に伝えている。
第 2497 回
自分のペースで進めばいい ~サバンナマラソンへの挑戦~
私は、言葉の大切さを伝えるため、小中学校で出前授業をしています。その中で、学校の先生から「子どもたちが失敗を恐れてチャレンジをしなくなっている」という話を聞きました。「それなら自分が何かにチャレンジして、その経験を子どもたちに伝えたい」そんな思いから私は60歳にして、5日間で合計230kmを走るサバンナマラソンに挑戦することを決めました。
それから半年間のトレーニングを経て、アフリカのケニアでスタートの日を迎えました。5日分の食料や着替えなど、約10kgの荷物を背負ってサバンナの自然保護区を走ります。空と大地が広がり、走っても走ってもずっと坂道が続くコースです。1日目・2日目は順調に進み、その日の区間を元気いっぱいに完走できました。
そして3日目。スタートしたものの、数km走ったところで息が苦しくなり、「ちょっと休もう」と止まったら、そのまま動けなくなってしまいました。荷物を枕にして大空を見上げながら、「アフリカまでわざわざ来て、3日目でダメか。子どもたちに『完走したよ、勇気があれば何でもできるよ』って伝えたいと思っていたのに。このままでは日本に帰れない」そんなことを思い、涙が出ました。そうしているうちにレンジャーに「リタイアするのか?」と声を掛けられました。
このサバンナマラソンは、自然保護区のレンジャーの活動を支援するためのもので、順位を競う大会ではありません。そのため、体調が回復すれば翌日も大会に復帰することができます。私は気持ちを切り替えて、その日は車でテント地へ向かい、しっかり体を休めることにしました。
4日目。朝目覚めると、ちゃんと深呼吸ができます。テントから出ると綺麗な朝日が目の前に広がっていて、「もう一度スタートしよう」と決めました。4日目も坂道がずっと続きます。ところが、私はどこか開き直っていて「空が綺麗だなあ」なんて思いながら、ふと足元を見ました。「あれ?坂じゃない。坂道だけど足元は平坦に見える」。不思議なことに、そう思った瞬間から足が進むようになりました。自然に口から「イチ、ニ、イチ、ニ」と声が出て、私の呼吸を整えてくれました。キリンやシマウマやゾウなど、前日まで見ることができなかった景色が目に飛び込んできます。「本当にアフリカに来たんだ」と感じながら4日目が終わりました。
最終日も順調に進み、あと10kmほどでゴールというところに日本の友人たちが「一緒にゴールしよう」と言って迎えてくれました。最後はみんなで手をつないでゴールすることができて、本当に嬉しかったです。
今思えば、1日目・2日目は「絶対に完走しなきゃ」というプレッシャーや「仲間に追いつきたい」という焦りがすごくありました。でも、一度諦めたことで「もう力は出し尽くした。あとは自分のペースで行くしかない」。そう思えた途端に心が変わりました。チャレンジは自分を強くし、仲間と助け合うこと、自分のペースで進む大切さを教えてくれます。ぜひ失敗を恐れず、自分のやりたいと思ったことにチャレンジしてみてください。