2026年9月13日放送

会場
島田市民総合施設 プラザおおるり(島田市)
講師
花まる学習会代表 高濱正伸

プロフィール

1959年熊本県生まれ。東京大学大学院修了。93年、思考力などを重視した「花まる学習会」を設立。その後本格的な学習方法を伝授する「スクールFC」を設立。子どもの「生き抜く力」を育てることを重視した教育が好評。

第 2499 回
AI時代に伸ばしたいチカラ

AIが人間の知能を超える分岐点、「シンギュラリティ」が目前に迫ってきていると感じます。世の中は大きく変化し、仕事も変わる。例えば、ある大手企業では生成AIのエージェントを取り入れて、コンサルタント契約を終了したそうです。確かだったもの、当たり前だったものが、どうなるか分からない。そんな時代を生きる子どもたちにとって、必要なことはなんでしょうか。
 
「知識はAIに聞けば答えてくれるから覚えなくていい」と言う人がいますが、そんなことはありません。小学校・中学校・高等学校で学ぶ基礎的な知識や語彙力は確実に必要なものです。例えば、 AIに相対性理論について説明してもらっても、物理の知識が自分の頭になければ理解することができない。まず基礎となる知識を頭に入れておくことが大切です。
 
その上で、AI時代において一番大切だと言われているのは、軸を持って生きることです。軸を持っていない人は、いわゆる偏差値や年収といった「外の軸」に振り回されがちです。自分にとって大切な軸や価値観を持っている人は、たとえ環境や状況が変化しても、その変化に対応し、新しいことに挑戦できます。時代の変化に翻弄されないためにも、「自分の軸」を持って生きることが大切です。
 
では、「自分の軸」をどう育てれば良いかというと、私は日記をおすすめしています。大事なのは自分の心をしっかりと観察して、本当にワクワクしたこと、みんなは良いと言うけど自分はそう思わなかったこと、弱い自分、いやらしい自分も、全部隠さず書くこと。私自身も中学一年からずっと日記を書いています。学校では生徒会長をしていて良い人を演じることも多かったのですが、日記には「これは嘘の自分だ」と正直に書いていました。嘘のない気持ちを日記に書くことで、本当の自分を見抜くチカラを養うことができます。
 
家庭でできることとしては「哲学対話」です。答えのない議題に対して「自分はこう思う」という意見を出し合って議論をすると、「物事に対する考え方にはいろんな角度がある」ということが見えてきます。それが、人生で起きる物事に対して自分なりの答えを見つけることに生かされます。
 
そして忘れてはならないのが、根本的な土台となる「心」を大切にすること。その「心」は親を中心とした無条件の愛情をもらうことで養われます。その愛情の中で、子ども自身が好きなことを見つけ出し、追及できるよう、親は応援してあげてください。AIに聞けば何でも教えてくれますが、経験に勝るものはありません。実体験の中で、「自分の軸」を持ち、「好き」を追求することで、変化の激しい時代を生き抜く「強い心」を育てていってほしいと思います。

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