2024年12月22日放送

会場
御殿場市民交流センターふじざくら(御殿場市)
講師
東京学芸大学附属世田谷小学校教諭 沼田晶弘

プロフィール

東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカの大学院へ。スポーツ経営学の修士課程を修了。児童の自主性、それを引き出す斬新でユニークな授業が数多くのメディアで話題となる。著書多数。

第 2412 回
完璧を手放す 最強の子育て

世の中には「小1の壁」「魔の2歳児」「9歳の壁」といった言葉があふれています。まさに壁だらけの子育て。でも、実際にはそんな壁はなく、「うまくいかない」となると「壁だからしょうがない」と、自ら壁を作ってしまい恐れているのです。

それから、「○○勉強法」に「褒め方マニュアル」、「10歳までにやらせておきたいこと」などなど。やらなきゃいけないことがたくさんあって、我が子がハードルをクリアできないと自分はダメなんじゃないかと思い、毎日そのハードルを越えるために子どものお尻を叩いていませんか。気づかないうちに子どもの成長よりも、親としての「べきべき論」をクリアできているかどうかの方が大事になったりしていないでしょうか。

本を読んで、講演会に参加して、ネットで情報をとって、自分のゆとりの時間はありますか。子どものためには時間を100%使うけれど、自分のために使っていますか。

さらに最近辛いのは、SNSにあふれる「キラキラ情報」。「毎朝5時起きで朝活」「子どもは20時には寝ます」「料理は手作りしか食べさせません」。でも、そんなキラキラは毎日続くのでしょうか。

子どもの将来をより輝かせるために「全力子育て」。自分の経験を重ね合わせ、「もっと勉強しておいたらもっとこうなったのに」「私はこれをやりたかったのにやらせてもらえなかった」「いろんなことを経験させて才能に気づきたい」。子どもは自分よりもっと幸せになってほしいから。

みなさんが「QOL=生活の質」を高められるヒントは、「ニコニコしている大人は最強の教育者」ということです。そのためには、「完璧」を手放す。そこまで完璧である必要があるのでしょうか。忙しい時は冷凍餃子で時短、映画を見せて言葉の教育、それでいいのです。

子どもだって家族のチームのメンバーなのだから、一緒にやって行きましょうよ。QOLは「家族トータル」で考えてほしいのです。ニコニコしている家族は最強のチームです。そうなってくるといろんなところで子どもたちも幸せのために動き始めます。例えば、「帰りが遅くなっちゃった、どうしよう」という時に、「お風呂入れて、あれしてこれして」と、みんながワーっと動く。目標がしっかりしているからです。親がニコニコしていて、「これやったらお母さんやお父さんは喜ぶな」となれば、子どもはしっかりと埋めてきます。

もちろん、親になれば我が子への期待は高まります。「言ってはいけない」と思っていたことを言ってしまったり、「ニコニコしよう」と思ってもできなかったりすることもありますよね。でも、そんな自分を客観視しつつ、「10回に3回できればいい」くらいの気持ちで子育てを楽しんでいただければと思います。

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