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過去の放送

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2012年3月 3日放送 鎌田實さん(第1777回)

会場
菊川文化会館アエル(菊川市)
講師
医師・作家 鎌田實

講師紹介

1948年東京生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。
諏訪中央病院名誉院長。地域医療に携わる傍ら、
イラクや東日本の被災地支援にも取り組む。
「がんばらない」、「大・大往生」など著書多数。

番組で紹介した本

☆番組で紹介した本☆
「がんばらない」を生きる
著:鎌田實
(中央公論新社・税込1,365円)


ポイント第1777回「困難な時代をどう生きるか」

37年前から、長野県の茅野市で地域医療をさせてもらいました。
あるお嫁さんがうちには寝たきりのおじいちゃんがいるというので、
行って見てみたら「これは大変だ。自分が寝たきりになったら辛いな」と思いました。
見て見ぬふりをしてはいけないと、往診を始めたものの、まだまだ役に立っていないと感じ、
訪問看護のサービスを始めました。
自分に当てはめてみたら、私自身は少しは耐えられるかと考えましたが、
私の妻はスーパーレディでもなく、普通の女性だから、きっと耐えられないだろうと思いました。

私が2,3年寝たきりになっても週に一度、自由な時間があれば妻は耐えられるかも知れないと思い、
丸一日預かるデイケアを始めました。
日本で初めてのことです。

こうしたことはすべて「相手の身になる」という発想から来ています。

福島原発から22キロの所に住むおばあちゃんを訪ねました。
このお宅は寝たきりのおばあちゃんをかかえているために、逃げることができませんでした。

震災後、全国からたくさんの救援が集まったけれども、
末期がんの人や訪問介護を受けている弱い人たちは、救いの声をあげられませんでした。

屋内退避圏内の南相馬にある病院では、
医師や看護師たちに自分の判断で圏外へ出て行ってもいいという許可が出ました。
その結果、残ったのはベテランばかり。
日夜働いてその医師たちは、くたくたになりました。
そこで諏訪中央病院から医師団を派遣しました。

第2陣として入った私は、巡回診療をしながら、体育館で過ごす人たちに温かいもの食べさたいと思い、
レトルトのおでんを温めて食べてもらいました。
震災後初めて、温かいものを食べて、家族を亡くした男性が
「いつ死のうかとばかり考えていたけど、これで元気が出た」と言ってくれました。

石巻では3週間風呂に入っていないという人たちのために「千人風呂プロジェクト」を立ち上げました。
中越地震で被災した人たちが、自分たちも被災後風呂に入れたことがとてもありがたかったと言い、
率先して協力してくれました。
下着メーカーからは真新しい下着が、
また、化粧品メーカーからは女性たちのためにと、化粧品がたくさん届けられました。

みんな「相手の身になる」ことを考えてくれ、被災地の人たちの心も少しずつ温かくなってきたのです。

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