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過去の放送

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2012年8月11日放送 三遊亭楽春さん(第1800回)

会場
榛原中学校(牧之原市)
講師
落語家 三遊亭楽春

講師紹介

1963年千葉県生まれ。
1985年五代目三遊亭円楽に入門。
1988年二つ目、1992年真打に昇進。
日本全国に落語を広めるための出張落語会や
小中学校での落語鑑賞会の活動も行っている。


ポイント第1800回「笑いに学ぶメンタルヘルス」

最近、笑いが健康に効果をもたらすことを研究する人が多いようですが、
私たちは学者ではなく落語家なので、実践の場でお客さまの顔を見てそのことを感じます。

落語の良さは笑うことと想像することにあります。何も無いところから想像する。
それが、脳の中の前頭前野を刺激して、
「やる気」、「元気」、「集中力」を向上させるといわれます。

昔から、「病は気から」と言いますが、
「頑張ろう」と前向きに取り組めばおのずと免疫力が高まり、
逆に、考え込んだり、しょんぼりしていると、免疫力は低下することを、
医学的データのないころから日本人は分かっていたのです。

私の師匠は先代の円楽ですが、師匠はよく、頼まれた色紙にこんなことを書いていました。
『一笑一若、一怒一老』
ひとつ笑えばひとつ若返る、ひとつ怒ればひとつ歳を取るというわけです。

あるところで師匠の独演会がありました。
幕が開くと大きな拍手が湧きましたが、そこにいたのは前座の私です。
お客さんは「あー前座か」という具合で、だんだん拍手は小さくなります。
私ががっかりしたように楽屋に戻ると師匠が言いました。
「今日は皆さん私を見に来ているのだよ。何でがっかりするんだ。
拍手をもらえなかったとしてもがっかりしていてはだめだ。
客席をよく見れば、1人2人は笑顔で応援してくれる人がいるものだ。
そういう人を見つけてその人に向って一生懸命話をしなさい。
そうすれば周りの人達にもその気持ちが伝わる、
迎え手よりも送り手、つまり初めの拍手より最後の拍手が大きいことが大事だよ」と言ってくれました。
私はそれを聞いて気持ちがスーッとしました。

ある大きな落語会で私が前座で次が師匠の出番のときに
名前の書いてある札「めくり」をめくったつもりが元に戻ってしまい、
師匠が出ても私の名前がそのままになってしまったことがあります。
お客さんの表情で師匠が気付き、こう言いました。
「おーい、私の戒名が違ってるよ!」
師匠の実家はお寺でお客さんもそれを知っているのでとっさにそんな冗談で笑わせてくれたのです。
そのタイミングで出て行った私に、お客さんも「次から頑張れ、応援してるぞ」と言ってくれました。

笑いは人の心を楽にし、ストレスを流してくれます。
「笑う門には福来たる」と言いますが、
「笑う家には」とも「笑う人には」とも言い換えることができると思います。

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