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過去の放送

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2012年10月 6日放送 野口健さん(第1808回)

会場
吉田町学習ホール
講師
登山家 野口健

講師紹介

1973年アメリカ生まれ。1999年エベレスト登頂に成功し、
7大陸最高峰世界最年少登頂記録を25歳で樹立。
近年は、ヒマラヤや富士山の清掃活動に加え、
被災地支援などの社会貢献活動を行っている。


ポイント第1808回「富士山の環境問題」

山に登り始めて20数年。
その後半の13年間は環境問題に取り組んでいるというイメージが強いと思います。
高校で落ちこぼれて学校を停学になった私ですから
初めから環境問題について考えていたはずもありません。

山をはじめて10年でエベレストに登頂することができましたが、
写真などで見たエベレストとは違って多量のゴミが散乱していました。
その中には日本語の文字が書かれたごみもかなりありました。
そして、他国の登山家が私に
「日本人はエベレストを"マウントフジ"にするつもりか」と尋ねるのです。
「富士山は世界一汚い山だと言うじゃないか」とその人は続けました。

私は当時、富士山には雪の覆われた冬にトレーニングで行っていたので
ごみを見たことがありませんでした。
そのあと夏山に初めて行ってみて驚きました。
確かにポイ捨てのゴミが多く、そもそも山頂に自動販売機が並んでいることにびっくりしました。

山に登るにはある種の覚悟が必要だと思います。
「あえて」行く場所なのだから、何でもサービスを提供すれば良いと言うものではないと思います。
雨具を用意したり、8合目からは呼吸が苦しくなってくる。
でもそれがあるから行くわけです。

富士山に流れていた「白い川」の正体はトイレットペーパーです。
何万人が捨てた汚れた紙が川となって流れて、富士山そのものが汚されていったのです。
今はさすがにバイオトイレも設置されて、
5合目から上はごみを捨てる人も少なくなりましたが、
ふもとの樹海には注射器や車のバッテリーが不法投棄されています。

昔、父が中東で政府関係の仕事をしていて、私に色々な場所を見せてくれました。
エジプトの雄大なピラミッドの陰には、スラム街があります。
そんな場所を私に見せて「何を感じたか」と聞くのです。
そして、「物事にはA面とB面がある」と言いました。
そのことを、私は富士山に感じます。
新幹線から見る綺麗な富士山がA面だとするとその裏に、B面の樹海の姿があるのです。

はじめは100人くらいしかいなかった富士山のごみ拾いボランティアも、
今では7千人を越えるまでになりました。
皆の力で美しい霊峰としての富士山が蘇り、
その結果として、世界文化遺産に選ばれて欲しいと願っています。

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