2012年12月22日放送 樹原涼子さん(第1818回)
- 会場
- 御殿場市民会館
- 講師
- 音楽教育家 樹原涼子
講師紹介
熊本市生まれ。武蔵野音楽大学卒業。
1991年より順次出版されたメソッド「ピアノランド」がベスト&ロングセラーに。
作曲・執筆の傍ら、セミナーやコンサート、音大での特別講義などを通じ、
ピアノ教育界に新しい提案と実践を続けている。
第1818回「君は君のままで」
私の人生の中で、ピアノは熱のあるとき以外毎日触れてきました。
子育てを始めてもずっと変わらず、それぞれを引き離して考えることは出来ません。
子どもが大きくなって自分らしさが出てくると、
親は生まれたころのことを忘れてしまうことがあります。
生まれたときはその存在だけでいいと思っていたのが、
ああして欲しいこうして欲しいという欲求が出てきたり、
よその子と比べてしまったりします。
でも、その子が生まれたときの喜びを持続することだけでも子育ては楽になると思います。
私の母は、いつもおおらかでよその子と比べたりせずに育ててくれ、助かりました。
子どもは一人一人、神様からすばらしいものを授かって生まれてくると思います。
それを発揮するときはすごく輝いていますが、
それとは関係ないものをやらせようとすると、
苦しくなって反抗したりするものです。
私も子どもたちが望むことを応援できる母親になろうと思い、頑張って来ました。
そのことを自分に言い聞かせるためにいつもこの「君は君のままで」を歌うようにしています。
まわりの友達が何点取ったとか、運動会でどっちが勝ったとか、
そんなことを取り払って、何でもいいからこの子が好きというころから始められたらいいなという思いです。
ある人のツイッターで見つけたことですが、ご主人とけんかして腹が立って仕方がないと思った時、
その人はふと、「この人はよその人、知らないおじさん」と考えるようにしたら、
知らない人にしては良くしてくれ、ありがたいと感じるようになったということでした。
それは子どもにも当てはまるのではないでしょうか。
我が子と思えば頭に血が上ってしまうことも、他人の子と思えば、気が楽になる。
何もかも自分が責任を負わなくても良くなる。
「君は君のままで」は、あなたをそのまま受け入れるということと同時に、
「君は君らしく生きていく権利がある、私はそれを応援する」というメッセージをこめた歌です。