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2013年3月16日放送 小菅正夫さん(第1829回)

会場
赤佐小学校(浜松市)
講師
札幌市円山動物園参与 小菅正夫

講師紹介

1948年北海道生まれ。
北海道大学獣医学部卒業後、旭川市旭山動物園に獣医師として勤務。
飼育係長、副園長を経て1995年園長に就任。
現在は札幌市環境局参与円山動物園担当。


ポイント第1829回「アザラシのお母さんの子育て」

私が初めてアザラシに接したのは、
獣医として病気の治療をしたときでした。
アザラシは、私が柵の中に入ったとたん、
「カカカッ!」という威嚇音を発して水の中に逃げていきました。
私はずいぶん臆病な動物だなと思いました。

あるとき、スカンクの赤ちゃんが生まれ、
そのお母さんが育児を放棄してしまい、
私が代わりに育てることになりました。
そして運動のために一緒に園内を歩いていたところ、
スカンクが水たまりの前で立ち止まりました。
水が苦手なのかと思って調べてみると、
スカンクは泳ぎが出来ることがわかりました。

泳ぎの練習のため、アザラシのプールに連れていき、
私が先に飛び込むとスカンクもすぐに入ってきて犬かきで泳ぎはじめました。
すると、私を怖がっていたはずのアザラシが
寄ってきて私の体にひげをこすりつけてくるのです。
もう警戒心がなくなったかと思ったのですが、
水から出るとまた前と同じで逃げていきます。

私はそこで気がつきました。
アザラシは、水中ではどんな動物よりも自分たちが優位で、
自分たちにかなうものはないと思っている。
けれども陸上では歩くのも大変なので、警戒するのだと。

旭山動物園は古い施設のとき、アザラシの繁殖に初めて成功しました。
最初はお母さんが水の中、赤ちゃんが陸上にいておっぱいをあげていました。
2,3週間経つと、赤ちゃんの白い産毛がなくなり、
お母さんは突然、育児ををやめてしまいました。
その後は私や飼育係が魚をやったりしましたが、
指を鋭い歯で噛まれて大変でした。

突然お母さんが子育てをやめてしまうのはなぜでしょう?
それは、アザラシが主に海で回遊生活をし、陸に上がるのはわずか3週間で、
その間に出産し子育てを終えなければならないからです。
好奇心の強い個体なら、自分の目の前に現れるものに食いついて、
遊んでいるうちにそれを飲み込み、えさをとる方法を覚えることができます。
しかし、好奇心のない個体は生き残れないという、厳しい世界なのです。
それは、自然の摂理に合わせたすばらしい子育てなのです。

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