2013年4月27日放送 尾木直樹さん(第1835回)
- 会場
- 菊川文化会館アエル(菊川市)
- 講師
- 教育評論家 尾木直樹
講師紹介
1947年滋賀県生まれ。早稲田大学卒業後、
教師として22年間子ども主役の教育を実践。
その後大学教員に転身し22年教壇に。現在は
法政大学名誉教授、臨床教育研究所「虹」所長。
番組で紹介した本
「尾木ママと考える
いじめのない学校といじめっ子にしない子育て」
著者:尾木直樹(ほんの木)
第1835回「世界のいじめ防止に学ぶ」
いじめがなぜなくならないのでしょう。
いじめる側は心理的にイライラし、
ストレスを抱えていることがあります。
家で何らかのストレスや圧力がかかって誰かをいじめたくなり、
学校で弱いものをいじめて癒される。
その子にとってはそれが蜜の味なのです。
家庭でありのままに受け入れられている子は
学校でいじめをすることはほとんどありません。
国立の教育研究所が、ある特定の小学校と中学校で、
小学校4年から中学校3年までの6年間を追跡調査したところ、
複数の生徒が6年間ずっといじめにあっており、
6年の間にいじめに関わったと答えた生徒が9割にのぼりました。
恐るべき実態です。
いじめた子を出席停止にしろという意見をいう人がいますが、
9割もが関わっているのにどうやって出席停止に出来るのでしょう。
非現実的な議論がかわされていると思います。
アメリカでは、大半の州でいじめ対策法案が出来ています。
その中で、どのような場合がいじめに該当するのか具体的に定義されています。
また、マサチューセッツ州では、いじめによって女の子が自殺した事件で、
いじめた中学生の男の子に対し、懲役10年の判決が出されました。
そしてその少年はそのときに初めて「自分はそんなにも悪いことをしたのか」と気づき、
猛反省し、それを見た裁判所は刑をボランティア活動に切り替えたといいます。
少年であっても社会的な責任を問い、それに反すれば罰せられることを教えた事例です。
日本では、いじめを不登校とくっつけてみたり、
道徳や心の教育でいじめをなくそうと、
現場にカウンセラーを送り込んだりしてきました。
それは間違いとはいえませんが、
日本でも今は、いじめられている子が苦痛を感じればいじめになります。
アメリカの例に倣い、道徳ではなく、罪を犯したら、逃げることは出来ず、
少年でも責任ある一市民として罰し、
のちに更正させることも見据えて対処していく姿勢が重要です。
加害者を放置するのはその子にとっても不幸なことなのです。