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過去の放送

過去の放送

2013年10月19日放送 長倉洋海さん(第1860回)

会場
三島市立北中学校
講師
フォト・ジャーナリスト 長倉洋海

講師紹介

1952年北海道生まれ。
通信社勤務を経てフリーの写真家となる。
以降、世界の紛争地を精力的に取材。
2011年9月から12月にかけ、福島、岩手、宮城で取材、撮影した
「だけど、くじけない―子どもたちからの元気便」(NHK出版)を出版。


ポイント第1860回「2つの家族」

ルーマニアは日本で言うと本州くらいの大きさ、コソボは岐阜県くらいです。

ルーマニアのクスコ一家がテーブルを囲み食事をしています。
10歳くらいの子どもを撮影する企画があり、探していたところ、
アナマリアという12歳の女の子に出会いました。

一家は自給自足で暮らしています。
作物は豊富でパンや野菜も全部自分たちで作り、外では牛、豚、鶏を飼っています。
アナマリアが牛を可愛がり、世話するようにと、お母さんが牛に名前をつけたそうです。
その牛をアナマリアは一人で放牧に連れて行きます。
牛乳からは、ヨーグルトやバターも作ります。

この家族は週に一度、オーガニックの野菜や乳製品を街に持って行き、
契約した人たちに売って生活を成り立たせています。
この地区はチェルノブイリも近く、また、工場から出るばい煙などの問題もあり、
国内では健康志向が強まっていて、クスコ一家の作った作物などが売れるのです。

しかし、EUからは様々なものが入ってくるために、
地域の農業はかなり圧迫されているとおかあさんは嘆いていました。
貧しくても一家は生き生きとしています。

日本に帰るとアナマリアから、可愛いスマイルマークのついたメールが届きました。
ネット社会で世界が近くなったと言いますが、
生活の一つ一つを見ることで初めてその顔が浮かび、共感を覚えるのだと思います。

コソボは、1999年の紛争の後、2008年に独立宣言しました。
その頃から取材に行って知り合った10人家族に会いに行きました。
9年ぶりの再会で、皆子どもたちも大きくなり、
そのときにはトラックの荷台で生活していたのが今は家が建っていました。

でも、ファトマットという末の女の子が難病にかかり、
一家はその治療費のために借金をして父親が毎月返すという苦しい生活を強いられていました。

メガネをかけたご主人の写真です。
彼のメガネは片方のつるが取れていてまっすぐかけられないのですが、
このメガネのことを聞けない私がいました。

電気の引込み線が壊れていてテレビや冷蔵庫も使えません。
でも、一家は楽しそうに笑っていました。

辛くて下を向くことも出来ますが、今家族がいて楽しい、
それを思い切り楽しむことが幸福の形なのかも知れないと思いました。

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