テレしず ホーム > テレビ寺子屋 > これからの富士山

テレビ寺子屋毎週日曜日 午前6時30分~

トップへ戻る

公開録画会場 随時募集中!

全国の放送予定はこちら

  • お知らせ
  • 寺子屋の歩み
  • 次回の寺子屋
  • 講師紹介
  • 過去の放送
  • 会場募集
  • ご意見・ご感想

過去の放送

過去の放送

2014年2月15日放送 野口健さん(第1875回)

会場
御殿場市民会館
講師
登山家 野口健

講師紹介

1973年アメリカ生まれ。1999年エベレスト登頂に成功し、
7大陸最高峰世界最年少登頂記録を25歳で樹立。
近年は、ヒマラヤや富士山の清掃活動に加え、
被災地支援などの社会貢献活動を行っている。

番組で紹介した本

*番組で紹介した本
「野口健が見た世界」
写真・文:野口 健
発行:集英社インターナショナル
発売:集英社


ポイント第1875回「これからの富士山」

富士山が世界文化遺産に登録された時、
私はヒマラヤにいましたが、今は携帯電話がどこでも通じて、
ポケットで電話が鳴り次々に「おめでとうございます」と言われました。 
みんな私が喜んでいると信じているようで、帰国してもそれは同じでした。

ところが、私がどう感じているかと言うと、ひとつは「まだ早かったかな」という気持ち。
もうひとつは、「何のための世界遺産か」という思いです。

私は富士山で10年間ゴミ拾いの活動をしていますが、ただ拾うだけでなく、
どうすればゴミが出ないようにするかをテーマに考えてきました。
そのために世界の公園などを見て回り、アメリカの国立公園にも行きました。
そこにはレンジャーと呼ばれる自然保護官がいて、
公園の環境を長い間ずっと守り続けているのですが、
私がその人に向かって「ここは世界遺産ですよね」と聞くと、
その人は、「ああ、そうだったね」と答え、
「あれはヨーロッパのブランドだね」と付け加えたのです。

自分たちはずっとこの公園を守って来て、
その結果として、世界遺産に登録されたけれども、
「だから何?」という感じなのです。

10年前に当時の東京都知事の石原慎太郎さんが、
小笠原の無人島である南島を見に行った時、人が踏み荒らして海岸の赤土が剥き出しになり、
サンゴが死んでいるのを目の当たりにしたことから、
島に入る人数を制限し、東京都の認定ガイドを作りたいと言い出しました。
そして、昔の美しい景観を取り戻すために、小笠原を世界遺産にするのだと、私に協力を求めてきました。

それから10年間、島の人たちの反発もあった中、
細かい話し合いを重ねてきた結果、世界遺産を勝ち取りました。

今回の富士山の世界遺産は、条件付きだったことを知っている人は少ないと思います。
ふつうは世界遺産に登録されてから6年後にチェックを受けますが、
富士山は3年後までに、管理計画書をまとめて提出することになっています。

世界でも例のないほどたくさんの登山者がいる富士山ですが、
霊峰富士と言われ、信仰の場であることが、文化遺産としての価値ですから、
本来心を穏やかにし、静かな場所であるべきだというのはユネスコの思うところでしょう。

私たちはそのことを自覚して、3年後に登録が取り消されたり、
危機遺産になったりしないように取り組んでいきたいと思います。

ページの先頭へ

ページの先頭へ