2011年1月 8日放送 香山リカさん(第1720回)
- 会場
- 菊川文化会館アエル
- 講師
- 精神科医 香山リカ
講師紹介
1960年北海道生まれ。東京医科大学卒業。
現在は、立教大学現代心理学部教授を務める。
メンタルヘルス問題に関する著書を多数執筆。
現代人の"心の病"について、洞察を続けている。
第1720回「しがみつかない生き方」
精神科医になって、25年になります。
今はその頃より、世の中は豊かになり暮らし易くなっていますが、
現実には「生きているのがしんどい」と言う方が、増えていると思います。
自分を高めるために自己啓発本を読み、向上しようとがんばっても、
その気持ちが強すぎて、焦っているように思われます。
今は、希望の持てない社会と言われていますが、
このような時代の生きるヒントをお話したいと思います。
まず、うろたえたり、慌てたりする必要はないということです。
世の中の様変わりが早く、新しい技術がどんどん出てきます。
その時に時代遅れにならないようにと、焦る必要はありません。
ちょっと立ち止まって、ゆっくり考えた方が、いい結果が生まれると思います。
答えを先延ばしするぐらいの気持ちが大切です。
診察室にみえる方で、人と比べて自分を追い詰めている人がいます。
「隣の芝生は青い」と昔からいいますが、自分にないものを人が持っていると、
素晴らしく見えてしまいます。でも、どんな立場になっても、
悩みや困ったことは付き物です。今の時代、何が幸せなのかは、
人によってそれぞれ違います。
ですから、今の生活、生き方が一番いいのだと思うことです。
人と比較するのは全く意味がありません。
大事なのは、今、この瞬間の自分に合格点を出すことです。
私は大学で教えていますが、テストも出席も60%あれば単位がもらえます。
最初は、こんな点でいいのかと不満に思いました。今では目標の六割出来てれば、
人にも自分にも合格点を出してもいいと思っています。