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過去の放送

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2015年1月17日放送 きたやまおさむさん(第1920回)

会場
大井川公民館(焼津市)
講師
精神科医・作詞家 きたやまおさむ

講師紹介

1946年淡路島生まれ。京都府立医科大学卒。
北山医院院長を経て、九州大学名誉教授。
白鴎大学副学長兼特任教授、国際基督教大学客員教授。
作詞家としての代表作は
「戦争を知らない子どもたち」
「あの素晴らしい愛をもう一度」など。
著書多数。


ポイント第1920回「人生物語の紡ぎ方」

人は物語を生きています。
心の台本を持っていると思います。

私たちのクライアント(患者)の中には、
不幸なエンディングになる物語を
繰り返している方が多くいます。

皆さんはいかがですか?

いつも同じようにケンカをして同じように別れる。
あるいは、いつも同じような失敗をする。
それが軽いうちはいいし、
ハッピーエンドになっていれば
それを繰り返してもらえばいいわけです。

私の場合、どんなにうまくいっても
9ヶ月くらいたつとやめる癖があります。
それ以上やるとがっかりすると言うか、
幻滅し、飽きてしまいます。
だから、紅白に出場するのをやめてしまったり、
レコード大賞の授賞式に欠席してしまったり。
その日の夜に受賞式の夢を見たりしましたが。
これが私の反復物語です。

つまり、やりきってしまえないと言うことだと思います。
あれもやる、これもやると言う風な人生。
でも悪くないと思っています。

「酒はうまいし姉ちゃんはきれいだ」と言って天国に行って、
そのままじゃいけないのでまた帰ってくる、
あの歌(帰って来たヨッパライ)に描かれている通りの人生。
いつも途中で帰って来てしまう。

どういうところから生まれたのかと言うと、
原体験があります。

私にとって京都駅はパラダイスでした。
駅前で育ち、何かがあればいつも京都駅に
連れて行ってもらいました。
食堂もあれば喫茶店もできた。
お兄さんやお姉さんたちが出て行ったり
帰ってきたりするのを見て、機関車を見て、
将来はあれに乗って
自分も出て行くのかなと思っていました。

その京都駅が、5歳の時、燃えたのです。
その頃はまだ木造でしたが、
その駅が燃えるのを、父の肩越しに見ながら、
これでもう京都から出られなくなると思いました。

どんなに楽しいことも、やがて、急に終わってしまう。
追い出されてしまうという思いです。

三つ子の魂百までもということわざがあります。
外国でも
「ゆりかごで体験したことは一生忘れない」
ということわざがあります。
業とか性とか言われるのもそうです。

私たちはその繰り返してしまう台本を
調べるために研究、調査をしています。

人生を物語のようにして、
その台本を読み解いて、紡いでいく。
悲しい台本なら、それを言葉で紡ぎだし、
意識し、反省することが出来ます。

ああ自分はアホだったと反省することが出来れば、
少しだけ台本の外に出て、
新しいあなたになっているかもしれません。

そしてそのお手伝いをするのが私たち精神科医の仕事なのです。

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