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過去の放送

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2015年5月10日放送 小菅正夫さん(第1936回)

会場
清水高部小学校(静岡市)
講師
札幌市円山動物園参与 小菅正夫

講師紹介

1948年北海道生まれ。
北海道大学獣医学部卒業後、旭川市旭山動物園に獣医師として勤務。
飼育係長、副園長を経て1995年園長に就任。
現在は札幌市環境局参与円山動物園担当。


ポイント第1936回「群れから学ぶキリンの子育て」

動物園には3種の神器というのがあります。

ゾウ、キリン、ライオンです。

旭山動物園でもキリンを飼育していましたが、

私が入って数年で一頭のメスが死んでしまいました。

残ったオスはたみお君という5メートル50センチもある大きなキリンでした。

別の動物園にキリンをくれないかとお願いすると、

3歳半のマーナというメスが来てくれました。

キリンの性成熟は4歳です。

まだ若いのにお腹が大きくなっていたのでおかしいと思いました。

まさかと思い、元の動物園に聞くと、あり得ないと言います。

でもやはり、マーナは妊娠の兆候があり、準備を始めました。

ある日、昼ごろお客さんから通報があり、

駆けつけるとマーナのお腹から赤ちゃんの足が出ていました。

すでにお産が始まっていたのです。

子供はなかなか出てきませんでしたが、夕方6時ごろ、

突然マーナが思い切りいきんで羊水と一緒に子どもが一気にドスンと落ちました。

産み落とすとはまさにこのことです。

子供はもがいていますが、マーナは私の顔を見ているだけで何もしません。

私の目を見て「どうする?」と目で聞いています。

赤ちゃんのキリンは足が180度開いていて、

すぐに立ち上がらなければ危険です。

飼育係と私は子どもを持ち上げて立たせ、体をきれいに拭き、

マーナの所に連れていきますと、マーナは後ずさり。

でも、おっぱいのところに口をつけてやると、勢いよく吸い始め、

マーナが子どもの体をぺろぺろなめ始めました。

やっと自分の子供だとわかったようです。

そうしてその子供が育った後、たみお君との間にまた赤ちゃんを宿しました。

2度目は大丈夫だと思いましたが、

やはりマーナは、自分ではやりませんでした。

4回目の出産のとき、テレビ局が取材に来て、

人間が手伝うお産のシーンを撮らせてほしいと言いました。

ところが、今度は赤ちゃんを産んだ後

マーナは予想に反して自分から子供をなめました。

すると、赤ちゃんはすぐに足をたたんで自分で立ち上がる準備をし

マーナが周りを1周して足を開き、おっぱいを見せると、すぐに吸い始めました。

それは完ぺきな出産シーンでした。

そのあと2回の出産も同じようにできました。

群れで生活するキリンはお産も群れの中です。

マーナは前の動物園で最後に生まれた子どもで、

出産を見たことがなかったのです。

単独で生活する北極グマなどと違い、

キリンは群れの中ですべてを学習しなさいと神様が決めたのかもしれません。

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