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過去の放送

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2015年10月18日放送 バイマーヤンジンさん(第1956回)

会場
地球市民かながわプラザ(横浜市)
講師
チベット声楽家 バイマーヤンジン

講師紹介

チベット・アムド地方出身。
名前はチベット語で「蓮の花にのった音楽の神様」の意味。
中国国立四川音楽大学卒業。
1994年来日後、全国でコンサートや講演を行い、
チベットの学校建設にも力を注いでいる。


ポイント第1956回「偉大な母の力」

私はチベットの田舎で生まれました。

兄弟は11人で私は9番目に生まれました。

大学で今の主人と出会い、今は日本で暮らしていますが、

チベットにいたときは日本もアメリカも知りませんでした。

私以外の家族はみんなチベットに暮らしています。

ある時、田舎に中国の医療チームがやってきて

健康診断をしてくれるということになりました。

ただし、村の功労者を優先させるということで、

長女である私の姉が選ばれました。

検査してもらえることは良かったと思いましたが、

検診の結果、肺にがんが見つかりました。

中国の四川省にある病院に行き、

精密検査をしてもらうと、ステージ3でした。

私はタバコも吸わない、酒も飲まない姉が

どうしてこんなことになるのかと医者に訴えました。

中国の大きな病院は患者であふれています。

3ヶ月待ちもよくあることです。

でも知人を頼ってすぐに入院させてもらい、姉は手術を受けました。

手術は成功しましたが、姉はもう故郷へは帰れません。

なぜなら私たちの故郷は標高4千メートルの高地です。

ですから都市で療養生活を続けました。

今年の2月、異常がないか再検査を受けると

今度は脳への転移が見つかりました。

姉は「私はもう治療を受けない」と言いました。

中国では保険はきいても、治療費全額を先に支払わなくてはならず、

莫大な費用かかるのです。

姉は兄弟の説得にも耳を貸しません。

ところが、母親がそこで立ち上がりました。

チベットでは平均寿命が50代なのに母は82歳です。

その母が、「私はなにも出来ないけれど、娘には生きてほしい。

だから先祖にお祈りをしにいく」と言います。

皆は反対しましたが、「私にはそれしかできることがない」と、

弟2人を連れ、先祖や父親にゆかりのある険しい山の中へ

出掛けて行ったのです。

そしてその様子を弟たちが写真に撮り送ってきました。

皆それを見て泣きました。 

そしてそれを見た姉が変わりました。

「私の命は私だけのものじゃない。私は母のために生きる」と言ってくれたのです。

そして治療を受けてくれました。大変な手術も終えました。

母は病床の姉の手を握り、

「たくさんの力をもらってきたから」と姉に語りかけました。

私は母によって、親が子を思う気持ちと、

人は一人では生きられないということを教わりました。

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