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過去の放送

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2016年3月13日放送 鎌田實さん(第1976回)

会場
ツインメッセ静岡(静岡市)
講師
医師・作家 鎌田實

講師紹介

1948年東京生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。
諏訪中央病院名誉院長。地域医療に携わる傍ら、
イラクや東日本の被災地支援にも取り組む。
「がんばらない」、「大・大往生」など著書多数。


ポイント第1976回「困難や病気に負けない生き方」

日本では460万人の認知症患者がいるというデータがあります。

しかし、おびえる必要はありません。

佐藤さんは若年性認知症でした。

若年性認知症は進行が早いと言われています。

でも、彼は土俵際で頑張って一人暮らしを続けています。

今60歳。発症から15年が経っています。

彼は数学の教師の免状を持ち、

IT関連の業界で働いているときに認知症を発症しました。

最初はうつ病かなと思ったそうですが、病院での診断は「若年性アルツハイマー」。

でも彼は、前を向いて歩こうと決心します。

そして、自分の行動をノートに記すことを始めました。

それもその日出来なかったことを書くのではなく、

出来たことや楽しかった出来事を書くようにしました。

そしてそれをブログに載せました。

彼はお風呂の蛇口をひねってもすぐに忘れてしまうので、

タイマーをかけておくなど工夫をして生活をしました。

そして彼は病気を恐れず、社会に出て行きました。

外に出ると自分の家に帰れなくなることもあるので、

いつも住所を書いた紙を持っていて、誰かに近くまで送ってもらいました。

彼の生き方に感動してあちこちから講演依頼がありました。

認知症でも、記憶はまだらなので大丈夫なところがまだあります。

うれしいとか、楽しいとか、悲しいとかの感情は残っています。

ある時、雑誌の対談を頼まれて彼と話をする機会がありました。

僕はわざと彼の住んでいる隣の駅で待ち合わせをしてみると、

彼はちゃんとその喫茶店に来ました。

いろいろ話をして帰り際、握手を交わした時、彼は握り締めて言いました。

「先生、生活は不便になったけど、俺は幸せだよ」と。

もう1人の例です。その人は小脳に難病を抱えていました。

70歳でした。

2年ぐらいで歩けなくなり、しゃべれなくなる病気です。

辛い告知でしたが、それを伝えると同時に

「僕が付き合うから心配しないで」と言いました。

2年がたち、やはりそういう症状が出て僕は往診を始めました。

話せなくなると、彼はコミュニケーションツールとして

ワープロで会話を始めました。ずっと準備をしていたのです。

10年後の80歳の時、彼はパソコンで株をやっていました。

そうして99歳まで生きました。

亡くなった時、僕は東北の震災のボランティアで石巻にいました。

急いで駆け付けるとお通夜が始まっていました。

彼の家族がじいちゃんのそばで僕の写真を撮ると言います。

先生が約束通り来てくれたからその写真を棺桶に入れるのだと言って。

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