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過去の放送

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2017年3月12日放送 内藤いづみさん(第2024回)

会場
裾野市生涯学習センター(裾野市)
講師
在宅ホスピス医 内藤いづみ

講師紹介

1956年山梨県生まれ。福島県立医大卒業。
1995年甲府市にふじ内科クリニックを開業。
命に寄り添う在宅ホスピスケアを30年近く
実践し、自宅での看取りを支えている。


ポイント第2024回「種をまく人」

ミレーの有名な絵画が甲府市の県立美術館にあります。

その「種をまく人」という作品は

30年以上前に当時の県知事が高価な額で買ったのですが、

そのことに対しては県の内部で多くの反対意見もありました。

しかしそれを実行したことで、

その後全国に個性ある美術館が増えるきっかけになりました。

知事はまさに種まきをしたのです。

皆さんも種をまく人です。

芸術家や音楽家の中には生きている時代には見向きもされず、

赤貧の中で生きていたのに、

亡くなって何百年もあとになってようやく作品が評価されることがよくあります。

ですから種をまくと言う行為は、

生きているうちに日の目を見ないかもしれませんが、

まいた種はいつかどこかで芽を出して花を咲かせる時が来ます。

ですからどうぞ今日の種をまいてください。

それはボランティアや家庭のことなど、どんなに小さなことでもいいのです。

作詞家の永六輔さんが、2016年の7月7日に亡くなりました。

私は永さんとご縁をいただき、全国で一緒に講演をし、

仲よくしていただき、いろいろな教えをいただきました。

なぜかと言うと、永さんは20年も前からホスピスケアを学ぶということは

日本にとってこれから大きな財産になると言ってくれていたからです。

その当時は、これから亡くなっていく人に対して

何が出来るのかなどと言われましたが、

私はどんな状況でも希望はあると言うことを信じていました。

そしてその証明として、永さんの奥様ががんにかかり、

発見された時に余命3ヶ月と言われたのですが、

永さんとご家族はホスピスをよく勉強されていて、

奥様にどうしたいのかと聞くと、

「家で見慣れた風景を眺めていたい」と答えたそうです。

ご家族はその希望をしっかりと受けとめ、

奥様は自宅で最後まで自分らしく過ごすことが出来ました。

大きな病院に行けばまるで食事のメニューのように

沢山の治療の選択肢を見せられ、戸惑い、

焦ってしまうことが多いと思います。

永さん自身もいろいろな病を経験されましたが、

最後まで立派に大往生を遂げました。

私は亡くなる1週間前にお見舞いに行きました。

永さんはもうあまり口もきけませんでしたが、

私を見て満面の笑顔を見せてくれました。

永さんは私に「死ぬことは怖くないよ。

今日一日を一生懸命生きていれば大丈夫。」と語りかけているようでした。

永さんは亡くなっても私たちが永さんの歌を忘れず口ずさむ限り、

永さんの魂は生きているのです。

残る命が短い人たちと巡り合い、

皆、まく種を持って生まれてきたことを知りました。

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