2017年9月17日放送 親野智可等さん(第2048回)
- 会場
- 大泉町文化むら(群馬県邑楽郡大泉町)
- 講師
- 教育評論家 親野智可等
講師紹介
1958年静岡県生まれ。公立小学校で23年間教師を務める。
教育現場で親が子どもに与える影響の大きさを痛感。
教師としての経験と知識を子育てに役立ててもらいたいと
メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発刊し、評判となる。
第2048回「マイペースな子を動かすには」
日常生活の中で親が子どもにやって欲しいと思う事はたくさんあります。
ところが親が思うとおりに動いてくれる子どもは1%もいません。
すると、親は子どもを叱ってしまいます。
叱られた子どもは「自分は駄目だ」「何をやってもできない」と自己否定をするようになり、
「お父さんやお母さんは私の事が好きじゃないんだ」と思ってしまうのです。
これでは親子関係の崩壊につながってしまいます。
それではどうすればいいのでしょうか。
叱るのではなく、子どもが自主的に動くよう工夫してみましょう。
その「工夫」は三つあります。
一つ目の工夫は「時間の見える化」です。
学校には時間割があります。同じように家庭でも時間割を作ってみましょう。
24時間作る必要はありません。
帰宅してから寝るまでの時間割を作れば十分です。
大きなホワイトボードに3パターンくらい作ります。
例えば、習い事がある日はAパターン、塾のある日はBパターン、
何もない日はCパターンとします。
そこに「勉強」「ゲーム」「おやつ」などのプレートを貼ります。
最初はうまくできないかもしれませんが、それでいいのです。
そんな時は子どもと相談して貼り直してみましょう。
自分で予定を組むことで「自分で決めた事はやらなければならない」という責任感が生まれます。
自分で作った時間割は自分でやり遂げようとする時間管理能力も身につきます。
これは学力向上にも直結することです。
二つ目の工夫は「やる事の見える化」です。
あるお母さんが、幼稚園の子どもが帰宅してからやらなければならない事を写真に撮りました。
「うがい」、「手洗い」、「幼稚園帽子をフックに掛ける」、「お箸セットを流しに持っていく」。
そしてこれらの写真を玄関に貼りました。
子どもは帰宅するとその写真を見て行動します。
そして終わったら写真を裏返しにします。
裏には花まるの絵が描かれていて子どもは大喜び。
「やる事の見える化」を私はカード式と呼んでいます。
そして三つ目の工夫は「音楽活用」です。
私が教師時代に家庭訪問した際のできごとです。
お母さんと話をしていると突然音楽が流れました。
すると子どもが急に勉強を始めたのです。
子どもが選んだ曲が流れると勉強を始めるというのがその家のルールでした。
自分が選んだ好きな曲だからこそ、それに反応してスムーズに行動しやすくなるのです。
これらの「工夫」を活用して、マイペースな子どもを叱らずに動かしてあげてください。