2017年10月15日放送 竹下和男さん(第2052回)
- 会場
- 浜松学院大学付属幼稚園(浜松市)
- 講師
- 子どもが作る“弁当の日”提唱者 竹下和男
講師紹介
1949香川県生まれ。香川大学教育学部卒業。
香川県・滝宮小学校の校長在職中、2001年に
子どもひとりで作らせる"弁当の日"を始める。
実践校は全国2400校以上に広がっている。
番組で紹介した本
「お弁当を作ったら」 著者:竹下和男 (共同通信社)第2052回「おふくろの味を知っていますか?」
子どもの味覚は3~9歳の間に発達すると言われています。
3歳以前はあまり発達しませんが、これには理由があります。
子どもの脳には「甘いもの」「油脂」「うまみ」を摂取するよう
先天的にインプットされているからです。
「甘いもの」は分解されてブドウ糖を作り、脳のエネルギーになります。
「油脂」は脳の60%を占める人間にとって重要な成分です。
皮膚では皮脂として外敵から体を守っています。
最後の「うまみ」は必須アミノ酸で、体を作るための材料となるものです。
出汁の味と言うと日本人には理解しやすいでしょう。
これら三つは0~3歳までに子どもが口にする
「母乳」「ミルク」「離乳食」などに十分含まれているため、
この期間はこれらの成分が不足するおそれが少ないのです。
最初は運動能力や言語能力など味覚以外の能力の発達が優先され、
それらがある程度発達した3歳頃から急激に味覚が発達していきます。
これは今に始まった事ではなく5万年、10万年以上前からの事です。
3歳頃になると乳歯が生えそろい、野に出て木の実を食べ、
草を引き抜き色々なものを口にするようになります。
おかしなものを食べて自分の身を危険に晒すような事があっては困るのです。
毒を食べて死んでしまってはいけない、そのために味覚があるのです。
植物は動けません。
動物から食べられないよう「苦い」「渋い」という味(毒)を自ら作りだしました。
1歳くらいの子どもはゴーヤを食べます。ピーマンも食べます。
3歳までの子どもは「苦い」「渋い」というセンサーを持っていません。
「苦い」という感覚そのものが出来ていないのです。
3歳までの間にゴーヤなど苦みのある旬の野菜を食べさせ習慣付けします。
ところが、3歳になると子どもは「あれ?」という顔をします。苦味に気付くのです。
その時、「この野菜には体に良いものがたくさん入っている」と教えてあげましょう。
全ての子どもは毒から身を守るため野菜嫌いになるという情報がインプットされています。
しかし野菜にはビタミン、ミネラルという大事なものが含まれている事も確かです。
この「苦味」や「渋味」も美味しいのだと教えてあげる事で子どもは野菜嫌いになりません。
人間が味覚を的確に発達させ健やかに成長していくためには、
小さな頃から親や周りの大人がその土地の旬の素材を使った食べ物を与える事が大切です。