2018年2月18日放送 ジェフ・バーグランドさん(第2069回)
- 会場
- 原地区センター(沼津市)
- 講師
- 京都外国語大学教授 ジェフ・バーグランド
講師紹介
1949年米国生まれ。高校教師歴22年と、
大学の指導では20年以上のキャリアを誇る。
50年以上京都に住み、京都国際観光大使も務める。
専門は観光と異文化コミュニケーション。
番組で紹介した本
「受ける日本人 繋がる日本人 いま、世界に伝えたい受信力」 著:ジェフ・バーグランド(出版芸術社)第2069回「家族で楽しむ異文化コミュニケーション」
私は日本に来て48年になります。
日本に来る前はアメリカのダコタ州という所に住んでいました。
面積は日本の本州とほぼ同じですが人口は60万人しかいません。
東京に着いた時はどこを見ても人、人、人で本当にびっくりしました。
今でもはっきり覚えている事があります。
日本に来て間もない梅雨の時期、私は初めて電車に乗りました。
つり革を持って立っているとサラリーマンが乗って来ました。
梅雨で濡れた傘を持っていたのですが、立ちながら本を読み始めました。
すると持っていた傘が倒れ、前に座っていた男性の足に当たってしまったのです。
当然、喧嘩になるだろうと私は思いました。
ところが、喧嘩どころかその傘が当たった男性は何も言わず、
ただ小さく「ウゥン。」と咳払いのような声を出しただけでした。
そしてそれを聞いたサラリーマンは「あ、すみません。」と言って
何事もなかったかのように傘を直したのです。
私はその時、なぜ喧嘩にならないのか意味が分かりませんでした。
アメリカ人は「自分が!自分が!」といういわゆる自己顕示欲の強い「発信型」の人が多いです。
当然傘を当てられたら「何するんだ!」「大した事じゃないじゃないか!」と
お互いの言い分を主張仕合い喧嘩になります。
しかし日本ではそうならない場合が多いです。
日本に住んでいるうちにこれが日本人の「受信力」だという事に気付きました。
「人の顔色を読む」「場を読む」「間を読む」「周りの空気を読む」、
こういった日本人の「受信力」を学びたいと思い私は日本に住み続けました。
コミュニケーションというのは「発信力」と「受信力」で成り立っています。
日本人は「一を聞いて十を知る」というように「受信力」に優れています。
日本人は元々自然界から「受信力」を学んできました。
自然は言葉を発しません。こちらから物事を読み取らなくてはならないのです。
「自然」から物事を読み取って文化を作り、次に「人」から物事を読み取るようになっていき、
人間関係中心文化となったのです。
文化には色々あります。
国が違うというだけではなく、年齢文化、性別文化、地域文化など、
「自分と違う文化の人とどう接したらいいか」を考えるのが
異文化コミュニケーションを学ぶ事に繋がります。
年齢や性別が異なる「家族」はもっとも身近な異文化です。
今日はまず家族で楽しみながら異文化とコミュニケーションをとる方法をお話ししたいと思います。