2019年3月31日放送 大日向雅美さん(第2123回)
- 会場
- 静岡学園幼稚園(静岡市)
- 講師
- 恵泉女学園大学学長 大日向雅美
講師紹介
1950年生まれ。
お茶の水女子大学大学院修士課程修了。
2016年、恵泉女学院大学学長に。
専門は発達心理学。
母親の育児ストレスや育児不安を研究。
子育てひろばの施設長も務める。
番組で紹介した本
「母性愛神話の罠」 著:大日向雅美(日本評論社)第2123回「その子らしさを大切にした子育て」
「我が子をあるがままに受け入れて、その子らしさを大切にして育てる」
というのは、子育ての基本中の基本だと思います。
しかし実際は難しくないですか?頭では分かっているけれどなかなかできないですよね。
その子らしさを大切にして育てられた場合、自信を持って伸びやかに育つ子が多いようです。
それは自己肯定感が育まれるからだとも言われています。
しかし日本の子どもたちの自己肯定感は、国際的にはまだまだ低いのが現実です。
アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデン、韓国、
そして日本の7ヵ国で比較したある調査では日本が最低でした。
しかし他の結果に目を向けてみると悪い事ばかりではありません。
例えば「社会のルールを守る」「人に迷惑をかけない」などの項目では
日本の子どもたちは「そう思う」という回答を選び、比較的良い結果になっていました。
ところが「自分には良い所がたくさんある」「自信がある」
「上手く行かないと思う事でも一生懸命チャレンジしてみようという意欲がある」
などという項目では低い回答をしています。
ただ、そう答えていても子どもは親には愛されているという事はわかっているそうです。
「ママやパパは自分の事を愛してくれている」という事はわかっているのに自分に自信が持てない。
なぜでしょう?
それは私たちが子どもを褒めるのが下手だからという事に関係しているのかもしれません。
皆さんが、個人的に褒めるのが下手だという意味ではありません。
日本の社会自体が、歴史的に人を褒めるという事が
あまり大事だと思われない文化を持ってきたからだと思います。
もちろん謙虚であることは大事ですが、自分の子どもが褒められた時など
「いえいえ、うちの子はダメな子ですよ。」などと否定的な事ばかり言ってしまいますよね。
これって子育てには良くないのではないでしょうか?
しかし、親の基準だけで褒めれば良いとは限りません。
褒め方も含め、その子らしさを大切にした子育てについてお話したいと思います。