2020年5月10日放送 小島慶子さん(第2178回)
- 会場
- 静岡労政会館(静岡市)
- 講師
- タレント・エッセイスト 小島慶子
講師紹介
1972年オーストラリア生まれ。1995年TBSに
アナウンサーとして入社し、2010年に退社。
現在は家族と共にオーストラリア・パース在住。
タレント・エッセイストとして幅広く活躍している。
第2178回「発達障がいってどんなもの?」
最近、「発達障がい」という言葉を耳にする機会が増えましたよね。
私は41歳の時に軽度の発達障がいだと診断を受けました。
発達障がいといってもいろいろな種類があります。
私の場合は、ADHD(注意欠如多動性障がい)という診断でした。
10年ほど前、「不安障がい」の病気の治療と相談を主治医にしていた時、
先天的な脳の障がいがあることがわかったのです。
それまでは、自分が障がい者の立場になると想像したこともありませんでした。
診断を受けて最初は、「へぇ~、そうなんだ。」と思いました。
私の場合、小さい頃から「いろいろ困るな。」「うまくいかないな。」
と思うことが多かったので、診断に対して「なるほどな。」と感じられたのです。
人によって受け止め方は違うと思いますが、私の場合は、
困りごとの原因のひとつがこの先天的な障がいだとわかったことで、
少し霧が晴れたような気持ちになりました。
私は小さい頃から落ち着きがなくて、大人しく話を聞くことが苦手でした。
その反面、集中し始めると他のことに目が向かなくなってしまうこともありました。
自分自身もつらい面がありましたが、周りの人たちも困っていたと思います。
大学を卒業し、私はテレビ局のアナウンサーになりました。
テレビの仕事は毎日変化に富んでいて、
スケジュールも会う相手も違って、私には合っていたのだと思います。
何かを話すとき自分の考えがまとまっていたり、
人とは違う角度から話したり、書いたりすることができる。
こういった自分の特徴も良い面で活かされることが多かったのかもしれません。
「発達障がい」と一言でいっても個人差があり、
置かれる環境やその時の体調など様々な条件によって症状が変わります。
いつも困った人という訳ではないのです。
「発達障がい」に関する知識を広く知ってもらうと同時に、
「この人は何に困っているんだろう?」と考えるとわかりやすいかもしれません。
「障がいがある人」と決めつけたりしないで
「その人が持ついろいろな特徴のひとつに障がいあるんだな。」
と思って接してあげられる人が増えたらいいと思います。