2020年6月21日放送 山田ルイ53世さん(第2184回)
- 会場
- テレビ静岡(静岡市)
- 講師
- タレント 山田ルイ53世
講師紹介
兵庫県出身。お笑いコンビ 髭男爵のツッコミ担当。
地元の名門中学に進学するも中途退学。
6年間の引きこもりを経験。大検合格を経て愛媛大学に入学。
その後中退し上京、芸人の道へ。
番組で紹介した本
「ヒキコモリ漂流記 完全版」著:山田ルイ53世(KADOKAWA)第2184回「もう一度届けたいメッセージ ~山田ルイ53世 ヒキコモリ体験談~」
今回は、「もう一度届けたいメッセージ」と題して
みなさんに再びご覧いただきたい名講義をお送りします。
第一弾は、タレントの山田ルイ53世さんです。
山田さんは、14歳から6年間引きこもった自身の体験をまとめた
「ヒキコモリ漂流記」を出版。
番組では「キラキラする義務なんてない」
「すべてに意味をもたせなくてもいい」というメッセージがとても印象的でした。
◇ ◇ ◇
僕は、中学2年から20歳手前までの6年間引きこもっていた経験があります。
小学校では、勉強も運動もできて、児童会長を務める優等生でした。
住んでいた町でただひとり名門の中学受験に合格。
中学校でも部活も勉強も一生懸命やって、
クラスメートや先生からは「優等生の山田くん」と認められていました。
ただ一方で、通学に片道2時間。勉強も部活も頑張っていた生活に、
自分では気づかないうちに精神的な疲れが溜まっていたのだと思います。
それがある日噴出して糸が切れてしまった、これが引きこもりのきっかけです。
本を出版して以来、インタビュー取材を受けることが多くなりました。
ほとんどの取材で「その6年間があったからこそ今があるのですね?」と聞かれます。
しかし僕は、その6年間は、「完全に無駄だった」と思っています。
今の世の中は「キラキラ輝いていないとだめだ」という考え方が満ちあふれています。
でもそういう人ばかりではありません。
みんなが野菜スティックみたいにシャキシャキと生きなくてもいい、
おひたしみたいにしんなりと生きるのが好きな人もいるのです。
何にでも意味を求め、引きこもりや失敗からさえも糧を得ようとする社会は、
息苦しくなります。僕はすべてに意味をもたせなくてもいい、
また、何もしなくていい権利だってあると思います。
引きこもりを大げさに考えてしまいがちですが、実は、誰にでも起こり得ることです。
そして親にも落ち度はないと僕は思っています。本人も親も悲観することなく
人生という双六のマス目のひとつくらいに考えてもらうと楽になると思います。