2020年7月19日放送 齋藤孝さん(第2188回)
- 会場
- テレビ静岡(静岡市)
- 講師
- 明治大学文学部教授 齋藤孝
講師紹介
1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、
同大学院教育学研究科博士課程等を経て現職。
専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。
「声に出して読みたい日本語」ほか、著書多数。
第2188回「もう一度届けたいメッセージ ~退屈力とチームワーク~」
【退屈力】
なぜ勉強をするのか?
私は自分の経験から、勉強をすると「退屈力」が身につくことがわかりました。
とことん地味なことを続けられる力、それが退屈力です。
しかも退屈力は勉強だけでなく社会に出てからも役立ちます。
それは仕事が勉強にもまして地味だからです。
いまの社会は、インターネットやゲームなど
刺激の強いものに慣れてしまってなかなか退屈に耐えられません。
とはいえ、子どもたちには、強い刺激ではなく
地味なものをゆっくりと味わう魅力を伝えたいものです。
例えば、絵本の読み聞かせ。
小さい子どもは、同じ絵本を何回も読んでもらいたがります。
それは、子どもがその地味なワールドに隠されている創造力豊かな世界がわかるからです。
一枚の絵からいろいろなことを思い描くことができるのです。
読書も、活字から情景、そして登場人物の声や表情が思い浮かんできます。
「退屈力」を鍛えると地味なものを楽しむ力が身に付くのです。
【チームワーク】
人はチームで磨かれる。私はそう信じています。
チームの中でいろいろな役割を担って成長していくのです。
ある集団が時間をかけてチームになっていくプロセスも大事です。
まず必要なのは、やるべきことや目標、つまり「ミッション」を共有することです。
すると集団は単なる集団ではなく"チーム"になっていくのです。
そしてチームの中で周りの人をやる気にさせる人、
働きやすくさせる人が実は、隠れたリーダーです。
リーダーシップ=カリスマ性だけではありません。
またリーダーシップには、情熱「パッション」が不可欠。
そして「言葉の力」も重要です。仲間をほめる言葉、
それがあるとミスがあってもくじけなくなります。
チャレンジを恐れなくなります。
そしてチームに常に情熱を吹き込むためにも空気を明るくする、
上機嫌な雰囲気を作り出すことも大切です。これが「ハイテンション」。
つまりチームワークを生み出し、成長させるキーワードは、
「ミッション・パッション・ハイテンション」なのです。