2020年9月27日放送 加藤英明さん(第2198回)
- 会場
- テレビ静岡(静岡市)
- 講師
- 静岡大学 教育学部 准教授 加藤英明
講師紹介
1979年静岡県生まれ。農学博士。
世界中のジャングルや砂漠を駆けめぐる生物ハンター。
カメやトカゲの保全生態学的研究をしながら、
学校や地域社会で環境教育活動を行っている。
番組で紹介した本
「環境ノンフィクション 加藤英明、カミツギガメを追う!」著:加藤英明(学研プラス)第2198回「カミツキガメを追って」
外来生物とは、文字通り外から持ち込まれた生き物です。
元々生息していた場所から私たち人間が移動させた生き物は、全て外来生物になります。
一方、在来生物は自らの力で動いて分布を広げる生き物です。
身の回りにいる生き物の多くは在来生物です。
外来生物でよく知られるのがミドリガメ、正式名称はアカミミガメです。
ペットショップなどでも売られているカメですが、もともとは北アメリカ原産の外来生物です。
カミツキガメも同じく北アメリカ原産で日本にペットとして持ち込まれました。
輸入されてペットとして飼われていること自体に問題はありません。
しかしこのところカメの調査をするために罠を仕掛けると中にカミツキガメが入るようになりました。
これはとても危険なことです。
カミツキガメは、狂暴で力も強く、子どもが噛みつかれると指が切れてしまう恐れもあります。
カミツキガメが罠にかかるようになったのはここ10年くらいです。
逃げ出して野外で繁殖していたり、
2005年に外来生物法が施行されて許可なく飼うことができなくなってしまい、
これを機に野外に放してしまった人もいるかもしれません。
外来生物はそもそも日本に来たくて来た訳ではありません。
私たち人間が連れてきた生き物です。
その生き物たちを最後まで責任をもって飼うこと、しっかり管理することが大切です。
外来生物の調査は、以前はひとりで行っていました。
最近では様々な人たちに協力してもらい、池の水を抜く大掛かりな調査も行っています。
すると多くの外来生物がみつかります。カミツキガメ以外にも外来生物はたくさんいます。
タモを持って川や池に行く時は、ポケット図鑑を持っていくといいと思います。
在来生物か、外来生物か調べてみてください。
生き物の正体がわからない時は、持ち帰らないことも大切です。
調査活動に参加してくれた人たちの中には、
身の回りの自然は、緑が豊かなのにそもそも生き物が少なくなっていると感じる人も多くいます。
その数少ない生き物の中に外来生物が増えているのが現状です。
こうした活動を通して学んだ経験を今後、
参加してくれた人たちがリーダーになって活動の輪がさらに広がってくれればいいと思います。