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過去の放送

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2020年11月 8日放送 落合恵子さん(第2204回)

会場
テレビ静岡(静岡市)
講師
作家・クレヨンハウス主宰 落合恵子

講師紹介

1945年栃木県生まれ。執筆活動と並行して、
子どもの本の専門店クレヨンハウスなどを展開。
総合育児・保育雑誌「月刊クーヨン」や、
オーガニックマガジン「いいね」の発行人。

番組で紹介した本

「明るい覚悟 こんな時代に」著:落合恵子(朝日新聞出版)

ポイント第2204回「明るい覚悟 こんな時代に」

『ぶたばあちゃん』という絵本のお話です。

あるところに、ぶたのおばあちゃんと孫娘が暮らしていました。

2人はとてもうまくいっていましたが、

いつからか、おばあちゃんの暮らしが変わっていきます。

ある時、おばあちゃんが起きてこない日がありました。

そして次の日、おばあちゃんは孫娘に「さあ行くよ」と声をかけて一緒に出かけます。

銀行でお金を引き出し、口座を解約しました。

他のお店でもこれまでの支払いを全て済ませ、おばあちゃんはホッとした顔をしました。

その日の夜、孫娘は言いました。

「私が小さい頃、怖い夢を見て泣いたときギュッてしてくれたよね。

今夜は私がおばあちゃんをギュってするよ」

最後のページは一人きりになった孫娘が描かれ、この物語は終わります。

ひとりのおばあちゃんの覚悟と、その覚悟を丸ごと受け止めた孫娘の覚悟。

ふたつの「覚悟」が描かれた絵本です。

続いて、私の携帯電話がガラケーからスマホに変わった頃の話です。

移し替えた電話帳を見ていると、既にいない人の名前がたくさんありました。

ずっと前から消さずに残っていた大事な人たちの名前です。

やがて私の電話番号も、消そうか消すまいか、誰かが迷う日が来ます。

その時、私は番号を残して欲しいと思うか?いや、そうは思わないかもしれません。

感傷的にならずに極めて機械的に消すことを私自身はむしろ望んでいるのかもしれません。

そのくせ私は彼女たちの番号を消せないでいます。

きょうが明日に、明日があさってになっていく時、

私たちは小さな覚悟を重ねていくのだと思います。

明日が見えない時代だから怯えたり不安になったりします。

その不安が他の誰かを攻撃する刃になることも私たちの社会にはあります。

「明るい覚悟」は、老いとか衰えの最中にありながら

さほど多くは残されていない明日に向けての自分との約束です。

その中で何を本当に大事にしますか?

自分の気持ちの中にある「本当」が本当なのだろうと思う私がいます。

老いは時に大いなる喪失を連れてきます。

けれど時にこの上なく深い獲得を運び込んでくれます。

いまが何歳でも自分が望む自分になっていく。

そのプロセスを惜しまずに省略せずに暮らすこと。

そんな自分との密やかな約束を私は私の明るい覚悟と呼びます。

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