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過去の放送

過去の放送

2021年5月16日放送 為末大さん(第2230回)

会場
テレビ静岡(静岡市)
講師
元陸上選手 為末大

講師紹介

1978年生まれ。世界陸上の男子400メートルハードルで銅メダルを2度獲得。五輪に3度出場。動画プラットフォーム「為末大学」の学長を務めるほか、スポーツと社会貢献のために幅広く活躍。

番組で紹介した本

「諦める力」著:為末大(プレジデント社)

ポイント第2230回「諦める力」

「諦める」はもともと仏教の言葉で、"明るい"という漢字を書きます。

自分はこうあるべきだ、こうあって欲しいという願望を取り払って、

冷静にあるがままに見てみようというのが語源です。


陸上競技で種目を転向した時の話です。

私は最初、100メートルの選手でした。

中学で全国チャンピオンになり、

「将来は日本人初の9秒台を出して世界の舞台で決勝に進出する!」

そんな未来を思い描いていました。

しかし高校に入って記録が伸びなくなりました。

そして高校3年生の時、400メートルハードルに転向したのです。

結果として自分に合った競技で技術を磨いて世界陸上でメダルを獲ることができました。


実は100メートルから転向するとき

「これは逃げているのではないか?」「自分が決めたことを諦めてしまうのか?」

自分の中にある思い込みとの闘いがありました。

でも実際は同じ陸上競技で、種目は変わってもオリンピックが目指せる訳です。

自分の気持ちと向き合って自分自身を冷静に見て、

自分に合うものを選択していくことが大切だと思いました。

選んだ後はとてもシンプルな気持ちになります。

自分の道を選ぶ時、自分自身を明らかにすることができれば、

それは『諦めた』のではなく『挑戦できた』のだと思います。


もうひとつ伝えたいのは「失敗」についてです。

私の最初のオリンピック出場はシドニーで、何万人もの観客の前で走りました。

結果は、最後の9台目のハードルに足をぶつけて転倒。

そのままゴールしたものの最下位でした。

失敗した過去の事実は変えられません。

ただ「失敗」に関しては、

どうして失敗したのかを学習して対処していけばうまくいくことがあります。

シドニーの翌年に世界陸上でメダルを獲った時、

「オリンピックでの転倒があったからメダルを獲れた。」と報道されました。

すると選手自身も「あの失敗にも意味があった。」、

「あの失敗があったから今の自分がある。」と考えが変わります。

失敗した事実は変わりませんが、その意味は競技生活やその後の人生の中で変わっていきます。
毎回起きた出来事に引きずられない。

そして原因を明らかにして学んでしまえば、それはもう未来の糧になると思います。

人生は有限でゴールも決まっていません。

その中ですごく大きな山に登っているようなものだと思います。

自分の道をある程度進んだら、今度は違う道を行ってみてもいいのではないでしょうか。

前向きに自分の人生を眺めてみて、そこで頑張ってみる。

そんなことを繰り返しつつ、

自由に、やりたいことを表現しながら生きる人が増えるといいと思います。

次の世代の選手や子どもたちに伝えたいのは「諦めなさい...」ではなく、

夢を持って頑張って欲しいということです。

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